2002年5月23日(木)20:43

欧州委員会はベネシュ布告をめぐる議論に自制を求める

ブリュッセル(ロイター)

欧州委員会は、ベネシュ布告をめぐりドイツとチェコの政治家の間で続いている議論に自制を求めた。

「我々は未来に集中すべきである」とロマーノ・プローディ欧州委員長は木曜日ブリュッセルにおいて、チェコのミロシュ・ゼマン首相との会見を終えて語った。ドイツでは最近、キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)のエドムント・シュトイバー首相候補(CSU)が、300万人のズデーテンドイツ人の放逐をもたらしたベネシュ布告に固執するチェコの姿勢を厳しく批判した。

欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン拡大担当委員は同布告をめぐる議論に自制を呼びかけた。私は、この布告が最終的にチェコの欧州連合(EU)加盟準備の成功の展望を妨げないものと期待している、と同委員は述べた。「各人が議論を鎮静化させ、1945年の欧州ではなく2002年の欧州の文明水準に相応しい、人々の感情に配慮した言葉を用いるよう努めねばならない。」

ゼマン首相は、布告はもはや誰の不利にもなっていないと述べた。同時に首相は、布告をめぐる論争を煽ったとしてメディアを批判した。

ベネシュ布告をめぐる論争は同時に3ヶ国の選挙戦に影を落とした。今年の初め、当時のハンガリー首相、ヴィクトル・オルバンは布告を撤廃するよう要求した。併せてオルバン首相は、布告を撤廃しない場合にはチェコのEU加盟は難しいと発言した。ズデーテンドイツ人のみならず数千人のハンガリー人もこの布告に基づいて放逐された。しかしオルバン首相は4月の選挙で敗北した。ゼマン首相は6月に選挙を控えているが、調査所の予測では野党が勝利する可能性が高いという。すでにゼマン首相はズデーテンドイツ人を「ヒトラーの第五列」と呼んで、ドイツとの関係をこじらせている。

原題:EU-Kommission ruft zur Maessigung in Benes-Dekrete auf




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