2005年5月15日(日)17:57

バイエルン州首相は戦後のドイツ人放逐を定めたベネシュ布告の破棄を要求

アウクスブルク(AFP)

バイエルンのエトムント・シュトイバー州首相(キリスト教社会同盟)は、チェコに対しベネシュ布告の破棄を要求した。チェコのEU加盟はそれまで実現を見なかった希望と結びついていたのだ、とシュトイバー州首相はアウクスブルクで開かれた第56回ズデーテンドイツ人大会の総会で演説した。

ベネシュ令はドイツ人に対して罪を犯した人々を免罪したのだ。「チェコ共和国が終戦60周年の今年この法律を破棄していたならば、友好のしるしとなったことだろう。(…)ひょっとしたらまだ可能性はあるだろうか?そうだとしたら私たちは嬉しく思うのだが」、とシュトイバー州首相は演説原稿で述べている。

キリスト教社会同盟(CSU)の党首を務めるシュトイバー州首相は、ドイツの故郷放逐者の利益を擁護していないとして、ゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)を批判した。「ドイツ連邦の首相は全ドイツ国民の首相であり、戦争の結果で最も苦しんだ人々を除外すべきではない。」

1945年および1946年に署名されたベネシュ布告は、およそ250万人のズデーテンドイツ人をチェコスロヴァキアから放逐する根拠となった。ズデーテンドイツ人は、当時のチェコスロヴァキアのエトヴァルト・ベネシュ大統領が署名したこの布告により、チェコスロヴァキアの国籍が剥奪され、財産は没収された。

原題:Stoiber fordert Aufhebung von Benes-Dekreten

訳注:第二次大戦前チェコスロヴァキアのズデーテン地方に住んでいたドイツ系住民(ズデーテンドイツ人)は、戦後一連のベネシュ布告により国外追放された。こうした故郷放逐者の多くは戦後西ドイツに移り住む。ズデーテンドイツ人大会は例年5月の聖霊降臨祭に開かれる。シュトイバー州首相はこれまで、EU加盟前にベネシュ布告を破棄するようチェコに求めていた。詳しい過去の経緯などについては、毎年この時期の「EUの東方拡大」のニュースを参照されたい。




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