2006年5月16日(火)17:42
ストラスブール(AP)
ブルガリアとルーマニアは2007年1月1日に欧州連合に加盟する可能性がある。ただし両国が汚職や組織犯罪の撲滅に一層力を注ぐことが前提である。これは欧州委員会が火曜日ストラスブールで勧告したもの。「2007年までに準備を整える可能性はある。しかし両国とも改革を急がねばならない」と欧州委員会のジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長は欧州議会で語った。欧州委員会は10月に進展状況の最終評価を行う意向である。
欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員は、「ブルガリアとルーマニアに『ようこそ』と言うのが私たちの目標である。だが両国が加盟の条件を達成するのを保証することも私たちの義務だ」と強調した。あわせてレーン委員は、両国がEU基準を満たせない場合は、加盟後も数多くの例外規定を設ける可能性がある、と述べた。このいわゆる保護条項は、加盟国があらゆる基準を満たした場合のみ、正式加盟の恩恵をすべて受けられるとするものである。
ブルガリア政府とルーマニア政府は欧州委員会の加盟進展報告書を歓迎した。ブルガリアのイヴァイロ・カルフィン外相は報告書を「バランスの取れたもの」と評した。我が国は「まだ課題を抱えている」が、一方で欧州委員会はこれまでの進展を評価してくれた、と外相は述べた。ルーマニアのカリン・ポペスク首相は、2007年1月1日の加盟は可能である。欧州委員会は我が国についてこれまでで最高の評価をしてくれた、と述べた。
ブルガリアは加盟準備でルーマニアに遅れを取った。欧州委員会は報告書で、ブルガリアが依然6つの政治分野について問題を抱えていると指摘した。ルーマニアについては4つの政治分野を挙げているが、問題は主に技術的性質のものである。たとえばルーマニアにはEU農業補助金の分配を行う官庁の設立などが求められている。
欧州委員会はルーマニアとブルガリアについて、依然汚職や組織犯罪に対する対策が不十分と見ている。両国は人身売買の中継国であり、「わずかながらも人身売買の源になっている」と報告書は指摘している。報告書によれば両国では依然汚職も蔓延している。欧州委員会はルーマニアについて「努力を続ける必要がある」と指摘する一方、ブルガリアにはさらに厳しい調子で「成果が現れたことを明確に示す」よう求めている。
バローゾ委員長とレーン委員は欧州議会の終了後に両国の首都を訪問する意向である。私たちは「激励のメッセージ」を伝えるつもりだとバローゾ委員長は述べた。EUはすでに2005年4月に両国との間で加盟条約に調印している。その際2007年1月1日を加盟期日とすることで合意されたが、加盟基準が達成されない場合は加盟を1年延期するとの含みも残していた。
加盟期日に関する最終決定は現EU加盟国の首脳によって行われる。ブルガリアの加盟延期に関しては全会一致が必要とされている。ルーマニアの加盟延期には3分の2の賛成が求められる。2年前に加盟を果たした新規加盟国の大部分は、あくまで2007年1月1日の加盟に固執する旨をすでに表明している。それゆえ両国の来年初頭の加盟はきわめて確度が高いと見られている。
原題:Bulgarien und Rumaenien an der Schwelle zur EU
訳注:第1節に原文の誤りがある。この箇所の解釈についてはミュンヒェン大学のアリーン・デュボアさんの教示を受けた。記して感謝する。