2006年5月23日(火)14:28

EUはモンテネグロに「EU加盟展望」を与える

ブリュッセル/ベオグラード(AP)

モンテネグロの国民投票による分離独立承認を受けて、欧州委員会は同国に欧州連合加盟への道を開く意向である。「モンテネグロにはEU加盟展望が与えられる」と欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員は火曜日ブリュッセルで述べた。あわせてレーン委員は、モンテネグロ政府との間で安定連合協定の交渉を開始する旨を表明した。同協定はEU加盟の第一歩と見なされている。

一方ベオグラードではEUのミロスラフ・ライチャク公使がセルビア政府の代表と会談を行った。ライチャク公使はEUの代表として日曜日の国民投票の監視に当たった。暫定開票結果によれば、有権者の55.5%がセルビアからの分離独立を支持した。これはモンテネグロの国民投票管理委員会が発表したもの。これによりEUが分離独立承認の条件として定めた55パーセントを僅かに上回った。

ライチャク公使は、投票が民主的基準に則って行われたと強調した。「あるいは驚くべきことかもしれないが、選挙戦はきわめて平和的で、ヨーロッパ流の文明的なものであった。」だがモンテネグロの親セルビア陣営は開票結果に疑問を抱き、再集計を要求した。そのためセルビアのヴク・ドラスコヴィッチ外相は、モンテネグロに対して暫定的に祝意を伝えるに留まった。「最終的な祝辞」は二週間後の公式最終結果の発表を待ちたいと外相は述べた。

あわせてドラスコヴィッチ外相はセルビアとモンテネグロの密接な歴史的関係を強調した。「私たちにはこれほど近い相手はほかにいない」。「従来もそうであったし、今後も変わらない」。アメリカのマイケル・ポルト駐セルビア大使はセルビア、モンテネグロ両国に対して、国民の意思を実行に移すために必要な措置を講じるよう求めた。

レーン拡大担当委員もセルビア政府とモンテネグロ政府に互いに協力するよう呼びかけた。加えてレーン委員はモンテネグロのあらゆる政党に対し、国民投票の結果を尊重し、協力するよう勧告した。EUの価値と基準に基づいた合意が形成されねばならない、と委員は要求した。

欧州委員会はこれまでセルビア・モンテネグロとの間で安定連合協定の交渉を行ってきたが、協議は当面中断されている。中断の理由は、ベオグラード政府が戦犯容疑者であるかつてのボスニア・セルビア軍のラトコ・ムラジッチ将軍を逮捕できる状況にあるにもかかわらず、これを行っていない、とカルラ・デルポンテ国連主任検察官が判断したためである。交渉の再開にはムラジッチ元将軍の身柄引き渡しが必要となる。

これまで交渉中断はモンテネグロも含んでいた。しかしレーン拡大担当委員は、モンテネグロの独立後は個別に安定連合協定の交渉を開始すると発表した。欧州委員会は交渉権の承認を求めるつもりだ。しかしセルビアとの協議も継続される。だがその条件は、旧ユーゴスラヴィアの戦争犯罪を裁くハーグ国連戦犯法廷との協力である、とレーン委員は強調した。

国民投票の結果はこれからモンテネグロ議会の承認を得る必要がある。その後セルビア政府との間で国家連合の解消に向けた協議が開始されることになる。セルビアはこれまでの連合国家の後継国として国際的な諸機構の一員に留まるが、モンテネグロは新たに加盟を申請する必要がある。人口約600,000人のモンテネグロは、セルビアとの連合を維持していた最後の旧ユーゴ共和国であった。

原題:EU bietet Montenegro ≪europaeische Perspektive≫




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