2011年5月11日(水)18:16
AFP
デンマークは隣国ドイツおよびスウェーデンとの国境の検査を再び導入する意向である。デンマークのクラウス・ヒョルト・フレデリクセン財務相がコペンハーゲンで述べたところによれば、この決定は2週間から3週間後に発効するという。シェンゲン協定を論議するブリュッセルEU内相理事会を翌日に控え、フレデリクセン財務相はこの決定はシェンゲン協定の規定に則って行われたと述べた。
この決定によれば、休暇や仕事でドイツからデンマークに入る人々は国境検査を覚悟しなくてはならない。決定には極右のデンマーク国民党(DPP)の圧力があった。「私たちはできるだけ早くデンマークの国境検査を導入することで合意した」とフレデリクセン財務相は少数政府とDPPとの合意を受けて発表した。DPPのピア・クラスゴー党首は非合法移民と組織犯罪の防止として国境検査の再導入を求めていた。政府は議会の議決で極右DPPの票に頼る状況である。
フレデリクセン財務相は、国境を越える犯罪が過去数年で増加しており、これに対処する必要があると述べた。またドイツとの国境に新たな電子検査装置ならびにナンバープレートによる車輛確認の機器を設置すると発表した。スウェーデンとのオーレスン橋の国境検査も行うという。
デンマークは通常加盟国間で国境検査を行わないシェンゲン圏に含まれるため、全面的な国境検査を導入することはできず、税関職員による車輛の抜き取り検査ぐらいである。フレデリクセン財務相は、新たな国境検査はシェンゲン協定の規定に則っていると強調した。今のところ欧州委員会はこの決定についてコメントしておらず、まずは正確な情報が必要だとのみ伝えている。
しかしデンマーク政府の決定はシェンゲン協定の改正をめぐるEUの議論を再燃させる可能性がある。協定の改正は木曜日にブリュッセルで開かれるEU内相理事会の議題となっている。北アフリカの政情不安以来、故国を離れてヨーロッパに向かう難民は数万人に上っており、こうした状況を踏まえてEU各国内相はEU難民政策の方向転換についても協議する予定である。
原題:Daenemark will wieder Kontrollen an Grenze zu Deutschland
Treffen der EU-Innenminister zu Schengen am Donnerstag