2014年5月31日(土)

キャメロン首相は英国のEU脱退をもって恫喝との報道

欧州委員長の人選をめぐる綱引き

AFP

シュピーゲル誌Der Spiegelの報道によれば、イギリスのデイヴィッド・キャメロン首相は火曜日(5月27日)のEU首脳会議で、EU首脳会議が投票によってジャン・クロード・ユンケル候補を新たな欧州委員長に選出した場合、イギリスのEU残留は保証できない、と述べてドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)らに圧力をかけたという。

出席者筋の情報によれば、キャメロン首相は会議の枠外で、そうした多数決決定は我が政府を揺るがすもので、イギリスのEU脱退を問う国民投票の前倒しが必要になる可能性があり、これはかなりの確率でイギリスのEU加盟否決につながる恐れがあると述べたという。

キャメロン首相同様、ハンガリーとスウェーデンの首相も保守系のユンケル候補の欧州委員長選出を阻止しようと図っている。しかしユンケル氏は保守系の欧州人民党(EVP)の筆頭候補として選挙戦に臨み、同会派は最大の得票を獲得している。メルケル首相はこれまで態度表明を避けていたが、昨日金曜日に初めて公式にユンケル候補の欧州委員長就任を支持した。メルケル首相の逡巡はドイツの他の政党から批判を浴びた。CDUの政治家はメルケル首相の慎重な姿勢について、イギリスなどの「気乗りしない国々」をつなぎとめる必要性に基づくものと説明した。

欧州委員長の候補者はEU加盟27ヶ国*の首脳によって欧州議会に提案される。各国首脳はその際、欧州人民党(EVP)が最大会派となった5月25日の欧州議会選挙の結果を考慮することになっている。ユンケル候補ならびに対立候補である社会民主党系会派のマルティーン・シュルツ筆頭候補(社会民主党SPD)も、それを受けて欧州議会で過半数の支持の確保に努める運びとなる。

欧州議会緑の党の議員はユンケル氏への支持を明らかにした。退任を控えたダーニエル・コーン・ベンディート議員はフランクフルター・ルントシャウ紙に、私自身ユンケル氏には「批判がたくさんある」が、緑の党の議員には欧州議会の選挙でユンケル候補の「多数派確保」に協力するよう勧めるつもりだと述べた。

エネルギー担当のギュンター・エッティンガー欧州委員(CDU)は欧州委員長の人選が遅れることに警鐘を鳴らした。もし人選が秋まで延期されたならば、「EUの政治に数ヶ月の停滞」が起きてしまう。「6月末までに合意が得られなければ、きわめて憂慮すべき事態となるだろう」とエッティンガー委員はビルト紙Bildに語った。

原題:Cameron drohte angeblich mit EU-Austritt Grossbritanniens
Gezerre um das Amt des EU-Kommissionspraesidenten

*訳注:原文には「EU加盟27ヶ国」とあるが、正しくは昨年7月に加盟を果たしたクロアチアを含む28ヶ国。




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