2016年5月1日(日)

ドイツとオーストリアは国境検査の延長を求める

AFP

ドイツならびに他のEU加盟5ヶ国は難民数の減少にもかかわらず引き続き国境検査を続ける意向である。欧州委員会宛の共同書簡でドイツ政府は他の国々とともに「危機メカニズム」の発動を申請した。

夏に車で休暇に出かける者は、ドイツ国境での検査を覚悟しなければならない。というのは、難民数の著しい減少にもかかわらず、ドイツや他の5ヶ国は11月まで国境検査の延長を求めているからである。フランクフルター・アルゲマイネ日曜版は、欧州委員会が来週水曜日にその請願を承認する見込みであると報じた。

「たとえ西バルカンルート沿いの内部国境における難民の状況が緩和されたとはいえ、私たちは依然懸念を持って欧州連合の外的国境の状況を注視している」。それゆえ加盟国は自らの域内国境を今後とも必要なところでは「状況に応じて柔軟に」管理することが認められねばならない、とドイツのトーマス・デメジエール内相は土曜日、請願書提出の理由を説明した。

ドイツのほか、オーストリア、ベルギー、フランス、ならびに北欧のデンマーク、スウェーデンも「危機メカニズム」の発動を強く求めているシェンゲン加盟国である。したがってドイツから北や西に向かう場合、また南からドイツに戻る場合、国境で渋滞に遭う恐れがある。しかしオーストリアとイタリアの国境ブレンナー峠については欧州委員会は国境検査を認めないため、オーストリア政府は別の法的根拠を探す必要がある、とフランクフルター・アルゲマイネ日曜版は報じている。

多数の難民が押し寄せたため、ドイツは昨年9月に国境検査を再開した。しかしバルカンルートが閉ざされ、EUとトルコの難民協定が発効してからは、流入する難民の数は減少している。だが国連によれば最大で10万人がリビアで待機し、地中海からイタリアに入り、さらには北に向かう機会を窺っているという。

シェンゲン圏の内部国境での検査は非常の場合しか認められていない。フランクフルター・アルゲマイネ日曜版によれば、水曜日に決定される欧州委員会の勧告案は、加盟国は「どこであれ適当と認められれば国境検査を打ち切るべきである」と求めているという。

デメジエール内相は3週間前、今後も難民数が少ないまま推移すればドイツは国境検査を5月12日以降延長しないと発表したばかりである。その後はEUが承認した期限が切れる。しかしこの内相の発表にはキリスト教社会同盟(CSU)が厳しい批判を浴びせた。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)はシェンゲン圏内の旅行の自由を原則的に支持した。「私は闘うことを決意した。私たちの外的国境が守れるよう、また旅行や移動、居住の自由を保証する空間が維持されるよう、それによってEUがさらに強くなるように」とメルケル首相は土曜日に語った。

バイエルンのヨアヒム・ヘルマン内相(キリスト教社会同盟CSU)は国境検査継続の要求について安全上の根拠を挙げた。「イスラムのテロリストはドイツの国境であっても容赦しない」とヴェルト紙は土曜日、ヘルマン内相の発言を伝えた。一方、社会民主党(SPD)のウーリ・グレッチュ内務担当は同紙に「私は国境検査の維持はナンセンスだと考える」。重要なのはEU外的国境の共同管理だ、と述べた。

オーストリアのセバスティアン・クルツ外相は、ISが勢力を拡大したリビアの危機的状況を踏まえ、EUがさらに積極的な役割を果たすよう求めた。外相はフランクフルター・アルゲマイネ紙日曜版に「私たちは共通の外交・防衛政策に関しEUとして戦闘能力の飛躍的向上をはかるべきである」。「このような大火災が発生する前に行動をおこす必要がある」と述べ、オーストリア政府がこの地域への軍事力投入に参加する用意があることを示唆した。

原題:Deutschland und Oesterreich wollen Grenzkontrollen verlaengern




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