2016年5月8日(日)

ワルシャワで25万人の反政府デモ

AFP

ポーランドで共産主義の終焉以来最大級となるデモが行われ、約25万人が民族保守派政権の政治に反対して街頭に立った。土曜日、参加者はワルシャワの官邸前に集まり、ポーランドが親EU路線を歩むよう要求した。多くの参加者はポーランドとEUの旗や、親EUのスローガンを記した横断幕を掲げて行進した。

このデモは、数ヶ月前から反政府デモを組織している野党の民主主義防衛委員会(KOD)が呼びかけた。同委員会は5月初めに正式な創立に至った。KODには新リベラル派政党ノヴォチェスナNowoczesnaや農民党PSLのほか、議会に議員を送っている二つの政党も加わっている。

ワルシャワの市当局の発表では24万人がデモに参加し、官邸から大統領宮殿まで行進した。行進の開始時には群衆がポーランド国家を歌い、「私たちは民主主義と憲法を護る」と叫んだ。デモにはブロニスラフ・コモロフスキ前大統領も参加し、「私たちはここに集まった。ポーランドの自由と民主主義を守るべく闘うために」と述べた。

参加者の一人、70歳ぐらいのダヌータ・グジムコフスカは、隣国ウクライナのように政治的空気が一転してしまうのではないかとの懸念を表明した。「多くの人々はポーランドでもマイダンが起きると考えている」と2013年から14年の冬にキエフで行われた大規模抗議活動を踏まえて語った。60歳ぐらいのラファル・ザゴロフスキは、政府は「ソ連のボルシェヴィストのように」振る舞っている。私は「法と正義」(PiS)のヤロスワフ・カチンスキ党首が私たちを流血の対決路線に導こうとしているのではないかと不安に感じている、と述べた。

一方、同時に行われた極右民族主義者のデモにはおよそ2,500から4,000人が参加したと市当局は伝えた。このデモはポーランドのEU帰属に反対するものであった。

カチンスキ党首は反政府デモに多数の人々が参加したことについて冷ややかにコメントした。これは「大した問題ではない」。「抗議は選挙結果に対する不満のしるしである。ポーランドの民主主義には何も危険はなく、これはEUのパートナーも言っていることだ」。「民主主義では政権交代が起きることを受け入れねばならない」とインターネットのチャットで述べた。これはテレビで放送された。

政権に忠実なポーランドのニューステレビ局TVP infoは、政府に批判的なデモについてはごく短く報じ、代わりにPiSのカチンスキ党首のチャットと民族主義者のデモを報道した。市当局の発表した24万人の参加者数については報じなかった。

ポーランドは、昨年12月にPiSが多数を占める議会が野党の抵抗を抑え、迅速手続きで憲法裁判所の著しい弱体化を図る措置を可決してから、政治的危機に陥っている。

憲法裁判所の決定には従来の単純過半数から今後は3分の2の賛成が必要となる。加えて、重要な決定の場合は15名の裁判官のうち13名の出席が必要となる。従来は9名の裁判官で足りていた。EU議長国オランダは憲法裁判所の弱体化と他の問題ある法案のため、すでにポーランドの法治国家性を審査する手続きを進めている。これはEUでは初の事態である。

原題:Viertelmillion Menschen demonstrieren in Warschau gegen die Regierung




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