2000年5月10日(水)
ベルリン(AP)
チェコのヴァーツラフ・ハヴェル大統領は水曜日ベルリンにおいて、1945年以降ズデーテン・ドイツ人の放逐と財産没収の根拠となった、いわゆるベネシュ布告についてチェコ政府が今後も撤回を考えていないことを明言した。「同布告は国の歴史および法行政の構成要素である」と、ハヴェル大統領はドイツ連邦大統領ヨハネス・ラウとの会談の後、記者会見で語った。「ただし、この布告の有効性はもはや失われている」とも述べた。
「1997年のドイツ・チェコ共同宣言でも双方の異なる法解釈が確認された」とハヴェルは指摘し、これがチェコの求める欧州連合への加盟を阻む「政治問題」として扱われることのないよう、警告した。「ベネシュ布告に関する双方の見解の隔たりにもかかわらず、両国間の協力は推し進めねばならない。」
ドイツ連邦大統領ラウはハヴェルに連邦功労十字勲章最高章を贈った。「これは和解と欧州統合に対するハヴェル大統領の貢献を讃えるものである」とラウ大統領は語った。ハヴェル大統領は「この大きな栄誉は同時に、ドイツとの和解と善隣関係に功績のあったチェコの全国民に対する表彰と考える」と述べた。チェコのEU加盟希望に関しては、ドイツが「できる限り速やかな」EU拡大に尽力してくれている、と語った。
意見の分かれるベネシュ布告の議論に関して外務省は、「かつてのチェコスロヴァキアにおけるドイツ人の故郷放逐、国外追放および財産没収に関する限り、国際法に違反する」、とのドイツ連邦政府の見解を明らかにした。同じ態度をドイツの故郷放逐者同盟もとっており、チェコ議会による布告の撤回を要求している。
ドイツ連邦政府は政府の態度をプラハ政府に対して繰り返し明言した、と外務省は説明し、1997年のドイツ・チェコ共同宣言ではこれに関して「...双方がそれぞれの法秩序に従前通り従う責務を負い、相手が異なる法解釈を有していることを尊重する」と定められていることに言及した。
しかしドイツ連邦政府の見解では、解釈の相違があるからといってチェコのEU加盟が、それ以前に成されたこの問題の解決に左右されるようなことがあってはならない。「チェコ共和国の欧州連合加盟はドイツおよびヨーロッパの利害に関わる高次の問題なのである」と外務省は強調し、連邦政府はチェコのEU加盟を「第二次大戦に根ざす」両国間の問題と結びつけるつもりはない、と明言した。
原題:Havel bekraeftigt Festhalten an Benesch-Dekreten
Trotz gegensaetzlicher Meinung Zusammenarbeit gefordert