2000年5月29日 16:33
ピエール・アントワーヌ・ドネ(『ツァイト・ニュース』)
ポーランド連立政権の不協和音は同国を深刻な政治的危機に陥れたばかりではない。ポーランドの早急なEU加盟もこれにより危険な状況に陥ったのである。少なくとも受け入れ手続きは5名のリベラルな自由同盟の閣僚の辞任願いによって凍結されている。しかも辞意を表明した閣僚のうち2名は改革の旗手として国際的に高い名声を得ているのである。すなわち外務大臣のブロニスラフ・ゲレメクと大蔵大臣のレシェク・バルツェロヴィチである。
ワルシャワの外交筋は、ゲレメク外相を欠く政府は国際的な信頼性を失うと推測する。また数々の外国の投資家や債権者と友好関係を保っている「ポーランド経済改革の父」バルツェロヴィチ蔵相が辞職すれば、国際金融界においてポーランドの信用は著しく損なわれることになると見ている。
ドイツのハンス・アイヒェル蔵相とフランスの蔵相ローレン・ファビウスは、当初は火曜日にワルシャワでバルツェロヴィチ蔵相と、1991年からドイツ、フランス、ポーランドを相互に結ぶいわゆる「ワイマール三角会合」という定期協議を行う予定であった。しかしポーランド蔵相の辞意表明により会合は中止となった。事実、「この政権危機は西ヨーロッパにおけるポーランドの評判に寄与するものとは言い難い」とある西側外交官は述べた。
連立政権内の確執は、ポーランド政府がEU加盟の前に果たしておかねばならない膨大な数の立法という課題にも影響を与える。連立が破綻するようなことになれば、ブゼク首相は少数与党を余儀なくされ、政府の欧州連合加盟推進の立場は、ポスト共産主義の議員が多数を占める議会で支援の見込みがなくなる。ポーランドが目標とする2003年1月1日という加盟期日までに、議会は少なくとも百の改正法案を可決成立させなければならないのである。
首相は自らの計画では夏の初めまでに40の新たな法案を議会で通過させようと考えている。これは野心的な計画と言える。なぜなら今年に入ってからこれまでにようやく6つの新たな法案が成立しただけなのだ。法律改正の遅れはすでに欧州委員会の懸念材料となっている。
EU加盟が遅れるようなことになれば、ポーランドのEU加盟論者には腹立ちの種となろう。しかしどのみちポーランド国民は欧州連合に関してこれまで決して熱狂的というわけではなかった。EU加盟は国民に多大の社会的犠牲を強いるからである。とりわけ全人口のおよそ三分の一が住む農村部において、経済構造の転換にともない住民の受ける痛みは大きいのである。
原題:Krise bringt Warschau im EU-Kurs ins Straucheln
Ministerruecktritt bringt Risiko fuer EU-Beitritt
Von Pierre-Antoine Donnet
Zeit-News