2001年11月12日(月) 11:31

プローディ委員長はEU諸国に対して欧州のための共同歩調を呼び掛ける

ブリュッセル(ロイター)

ロマーノ・プローディ欧州委員長によれば、欧州連合はEU諸国が国家エゴを抑えて真に共同の政治を実現すれば、9月11日のテロ事件後の世界政治の表舞台で中心的な役割を担うことが可能であるという。ベルギーのブリュッヘでの演説原稿によれば、プローディ委員長は月曜日、EU加盟国との綱引きの中で欧州委員会の仕事を弁護し、各国政府に対して欧州委員会を弱体化させることのないよう訴えた。一つの組織を弱体化させれば、欧州連合全体を弱体化させることになる、と同委員長は主張した。

EUは新たな課題に直面しており、統合の道を引き続き進むか否かの決定に迫られている、とプローディ委員長は述べた。委員長はEU強化のための新たな提案を行ったが、その中にはテロと組織犯罪に対する共同の警察部隊の提案も含まれている。

9月11日をもって21世紀が真の意味で始まったのだ。もはやどの国も一カ国では安全、繁栄および平和を保証することはできない。これに対し、拡大・統一された欧州は積極的な役割を果たすことができる。欧州にグローバルな役割を付与する方法はすでに用意されている。今や決定を下す時が来たのだ。それゆえ懸案のEUの改革協議では、EUが拡大後も決定能力を失わず、争いによって政治的な麻痺を来さないという保証が必要である。それゆえ多数決決定はEUの通例とならねばならない、とプローディ委員長は主張した。

現在、EU諸国は重要な政治分野に関しては全会一致の決定によるしかない。EUは2004年には包括的な改革を決定する意向である。同じ年に新規加盟国の第一陣を迎え入れる予定である。「拡大は麻痺を意味してはならない」とプローディ委員長は訴えた。

欧州委員長はまた、欧州議会を二院制に改編し、各国の国会の代表が第二院を構成するという、ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相の提案したEU改革案を退けた。プローディ委員長は、もう一つ議院を置くことは「非建設的」である。EUの機構システムはすでに充分複雑である。ただ、各国議会をより密接にEUの決定に結びつける必要はある、と語った。

さらにプローディ委員長はEU各国に対して、9月11日のテロ事件を受けて基本的な決定を見たテロ撲滅措置の完全な実現を求めた。委員長は一例として、テロ組織の国境を越えた追跡を容易にする、EU規模の拘留命令の導入を挙げた。さらに、テロを取り締まる共同の警察部隊の創設と、欧州連合の国境管理に関する共同のEU戦略の策定を提唱した。

原題:Prodi fordert EU-Laender zum gemeinsamen Handeln fuer Europa auf