2002年11月26日(火)18:48

EU加盟候補国に対するデンマークの譲歩案に現加盟国から不興の声

ブリュッセル(ロイター)

EU議長国のデンマークによる加盟候補諸国に対する財政提案は多くの現加盟国の不興を招いた。

デンマークは火曜日、加盟候補諸国との間で同国の提案に関する議論を開始した。候補国の代表者はデンマークの提案を正しい方向への一歩と評価したのに対し、ドイツ、フランス、イギリスなどは10月末のブリュッセル首脳会議における財政合意を揺るがすものとして危惧している。外交筋によれば、デンマークの提案はブリュッセル首脳会議の合意に比べて2006年までで約13億ユーロの負担増をEUにもたらすという。

EUはブリュッセル首脳会議で、2006年以降農家への直接補助金に上限を設けることで合意し、2004年5月1日加盟予定の候補10ヶ国に対する財政案を取りまとめている。

外交筋によれば、デンマークは加盟候補国に対してさらに2004年に総額で10億ユーロを支給すること、また2006年までに総額で9億ユーロを国境検問体制の強化に、また3億8000万ユーロを原子力発電所の安全確保に支給することを提案したという。この支給額の増額により他の調整支給額が減額されるため、総額では13億ユーロの負担増になるという。

デンマークはこの提案を現段階では他の加盟14ヶ国の賛同を得ずに加盟候補国と議論する意向であり、外交筋によれば、コペンハーゲン首脳会議をわずか2日後に控えた12月9日と10日のブリュッセルでの外相会合の席で合意を得たいと考えているという。外相会合には加盟候補国も参加することになっている。

コペンハーゲンでは10ヶ国の加盟が決定される予定である。しかし外交筋によれば、ドイツとフランスはもし両国に対し過大な譲歩が求められることになれば、場合によってはこの問題の解決を首脳会議の席まで持ち越す意向を表明したという。

ある外交官によれば「数ヶ国はこの提案をきわめて問題があると見ている」という。「デンマークは集中砲火を浴びた」と別の外交官は月曜の夜遅くに開かれたEU外交官会議を終えて語った。批判を招いたのは支給額の増額に加えて、デンマークが提案した直接補助金の譲歩案であるという。

EUは候補国の農家に対して段階的に直接補助金を支給し、2013年にはじめて西欧の現加盟国と同じ支給水準とする意向である。これに対しデンマークは、この補助金額を候補国が自ら増額し、その際に本来は農村開発用のEU補助金を一部充てる権限を候補国に認めるよう提案した。

外交筋によれば、これにより現加盟国と同じ支給水準の到達は一二年早まるという。しかし加盟数ヶ国の政府はこの提案がEUの制度に違反するとの強い懸念を表明したという。

候補諸国は慎重に楽観的意見を表明したが、他方でさらなる譲歩をも求めた。チェコのパヴェル・テリツカ Pavel Telicka 主任交渉官は、デンマークの提案は一つの改善である。「EU側に今一つの柔軟性が認められれば、真の前進もそう遠くなかろう」、と語った。

原題:Daenische Zugestaendnisse an EU-Kandidaten veraergern EU-Partner




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