2005年11月9日(水)16:02
ブリュッセル(AP)
人種間の対立暴動から4年後、バルカン半島のマケドニアはEU加盟に向けて決定的な一歩を踏み出した。ブリュッセルの欧州委員会は水曜日、マケドニアに加盟候補国の地位を与えるよう勧告した。「マケドニアは深刻な治安の危機から僅か数年で今日の安定した民主主義と良好に機能する多民族国家を築いた」。これは「注目すべき発展」である、と欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員は語った。
それゆえ欧州委員会はマケドニアに加盟候補国の地位を与えることを決定した、とレーン委員は述べた。マケドニアは2004年3月22日に正式にEU加盟を申請した。この欧州委員会の勧告は12月15日と16日のEU首脳会議で承認されるものと予測される。しかしこれは加盟交渉の実際の開始を保証するものではない。
交渉の開始には欧州委員会の新たな勧告と加盟国の決定が必要となる。レーン委員はマケドニアが司法・警察制度を改革し、汚職の撲滅に一層力を注ぎ、選挙制度を改善する必要があると明確に述べた。2004年4月にはEUとマケドニアの安定連合協定が発効している。同協定は加盟の最初のステップと見なされている。
2001年夏の段階ではマケドニアは内戦勃発の一歩手前にあった。アルバニア系少数民族が権利拡大を要求したためである。政府軍と反乱軍は数週間にわたり戦闘を繰り広げた。アルバニア系住民はマケドニアの全人口200万のおよそ四分の一を占める。2001年10月には治安維持のためNATO軍が派遣された。2003年3月にはNATOに代わってEUが治安維持部隊を送った。駐留は2003年12月に終わった。
スロヴェニアとクロアチアを除けば、マケドニアは水曜日の欧州委員会の決定により、ユーゴスラビアから独立した共和国の中でEU加盟に最も近づいたことになる。スロヴェニアは2004年5月1日にEU加盟を果たし、クロアチアは今年10月3日から加盟交渉を開始している。クロアチアの加盟交渉開始に当たっては、同国が旧ユーゴスラビアの戦争犯罪を裁くハーグ国連戦犯法廷との間で無条件協力を行っているかという問題で長い間議論が行われた。
欧州委員会は水曜日に発表したクロアチアの進捗状況に関する報告書の中で、国連戦犯法廷と引き続き協力するよう求めている。「まだ捕まっていない最後の訴追者を見つけ、逮捕し、ハーグに送致しなければならない」とレーン委員は述べた。問題となっているのは依然逃亡中のクロアチアのアンテ・ゴトヴィナ元将軍である。クロアチアは2008年のEU加盟を目指している。
EUはセルビア・モンテネグロとの間で今年10月10日から安定連合協定の交渉を開始している。レーン委員は報告書の中で、同国に対してもハーグ国連戦犯法廷との無条件協力を勧告した。加えて、同国の政治指導者は積極的にコソヴォ問題の解決にあたらねばならないと強調している。
欧州委員会はボスニア・ヘルツェゴヴィナとの間でも安定連合協定の交渉を開始する意向である。欧州委員会はすでに10月21日に勧告を行っているが、交渉の開始にはEU加盟国の承認が必要となる。EUはアルバニアとの間では2003年2月から安定連合協定の交渉を行っている。これまでの同国の進展は「交渉の完了への道」を開いたと欧州委員会の報告書は評価している。
原題:Bruessel empfiehlt Kandidatenstatus fuer Mazedonien