2005年11月9日(水)16:01

欧州委員会はトルコの改革の遅れを批判

ブリュッセル(AP)

EU加盟交渉の開始から1ヶ月、欧州委員会はトルコ政府に対して、人権擁護に一層努力するよう求めた。欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員は水曜日ブリュッセルで、トルコは加盟のための「政治的基準を引き続き十分満たしている」と述べる一方、「改革のスピードは2005年に入って遅くなった」と強調した。

欧州委員会はトルコが数多くの改革を決定したことを評価したものの、今後トルコ政府はその実行を心掛けねばならないと求めた。「人権侵害は少なくなったとはいうものの依然起きている」。拷問や虐待の撲滅に向けた法制度もあるが、「報道によれば拷問や虐待は依然行われており、こうした犯罪行為の処罰を一層精力的に行う必要がある」、とレーン委員の進捗報告書は指摘している。

法的状況は改善されたが、「検事が依然、非暴力的に意見を表明する人々を訴追している」とレーン委員は非難した。同委員のこの発言は作家オルファン・パムクのケースを念頭に入れていると見られる。パムクはクルド人の状況に関する発言でトルコの国民アイデンティティーを貶めたとして告発されている。パムクは今年のドイツ書籍協会平和賞の受賞者である。

女性の権利についてもこれまで以上に配慮が向けられているとレーン委員は認めた。「だが女性に対する暴力は引き続き深刻な懸念材料となっている」。またクルド人のような少数民族は「文化的権利の享受で依然重大な制約」を甘受せざるを得ない、と委員は指摘した。最後に欧州委員会は、トルコの軍隊が相変わらず政治決定に大きな影響力を行使していると批判した。

EUはトルコ経済については順調な発展を認めた。トルコは安定化路線と改革路線を堅持する限り、「機能する市場経済の存在を認めることができる」。「トルコは中期的には、EU内の競争圧力と市場諸力に耐えることができるようになろう」、とレーン委員は評価した。欧州委員会はEU法のトルコ国内への移し変えについて、とりわけ農業部門と環境保護政策で大きな問題があると見ている。

さらにレーン委員はトルコに対し、港や空港をキプロスの船や航空機に開放するよう求めた。「EUは約束を守り、加盟交渉を開始した」。「今度はトルコが約束を果たす番である」、と委員は述べた。ここで問題となっているのはキプロスを含む新規加盟10ヶ国への関税協定の拡大である。

欧州議会外交委員会の委員長を務めるエルマー・ブローク欧州議員(キリスト教民主同盟)は、今回の進捗状況報告書を歓迎した。「欧州委員会も、書類の上の決定ではなくトルコ政府の約束した改革が実際に実行に移されたか否かが重要だということにようやく気がついたようだ」、とブローク委員長は述べた。

緑の党も肯定的に評価した。「EUがトルコに対する圧力を高めるのは結構なことだ」とジェム・エツデミールCem Oezdemir 欧州議員は述べた。「そうすればトルコ政府にとっても、国内の抵抗に抗して民主的改革を実行するのが容易になる。」

EUはトルコとの間で去る10月3日に加盟交渉を開始した。交渉の完了には10年から15年かかると見られている。目標は正式加盟であるが、交渉は結果を約束せずに行われると定められている。

原題:Bruessel kritisiert Reformbemuehungen der Tuerkei




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