2006年11月8日(水)18:50

欧州委員会はキプロス問題で加盟交渉に影響が及ぶとトルコに警告

ブリュッセル(AP)

欧州委員会はトルコに対し最後通牒をつきつけた。トルコ政府がEUとの関税同盟をキプロスに拡大しなければ、欧州委員会は加盟交渉でしかるべき措置を取るよう12月のEU首脳会議に勧告をする意向である。トルコ政府は、キプロス問題と加盟交渉の結びつけを拒否すると述べた。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は欧州委員会の最後通牒を支持した。

「トルコは今年末までに義務を果たさねばならない」。「さもなくば欧州連合は相応の措置を取ることになろう。『今までどおり』などというやり方は認められず、またありえない」とメルケル首相は水曜日の晩ベルリンで語った。

しかし私はまた、残された数週間で問題の解決を図ろうとするEU議長国フィンランドの尽力を支持すると、キリスト教民主同盟(CDU)の党首を務めるメルケル首相は述べた。CDUのローナルト・ポファラ幹事長は、トルコにはEU正式加盟の代わりに特権的パートナーシップを提供すべきであるとの同党の要求をあらためて主張した。

欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員はメルケル首相と同様に平和的な合意に期待を表明した。「おそらく長年のキプロス問題を解決する最後のチャンス」になろうとレーン委員は語った。

しかしトルコ政府の反応はキプロス問題解決の見通しに疑問符をつけるものであった。「キプロス問題は政治的問題であり、技術的な性質の加盟交渉プロセスで義務として課されたものではない」とトルコ政府は述べた。

これに対し欧州委員会は、条約上トルコが関税同盟のキプロス拡大の義務を負っていると指摘した。トルコ政府はすでに昨年の時点で協定に調印している。これによりようやく「加盟交渉開始が可能となった」のである、と欧州委員会は報告書で述べ、間接的にトルコの条約違反を非難した。

しかしトルコのレチェプ・タイップ・エルドアン首相は、EUが加盟交渉を凍結させることはないとの確信を示した。首相は「交渉の中止もしくは中断はありえない」と述べたが、個々の分野の交渉に遅れが出る可能性は認めた。

オーストリアのウルズラ・プラスニク外相もトルコ政府を厳しく批判した。トルコの改革を促す方法として加盟交渉は「明らかに正しい道ではない」。正式加盟に代わる代案を考えるべきである、と外相は述べた。フランスのフィリップ・ドストブラジ外相は、トルコ政府が譲歩しなければ交渉のタイムスケジュールを見直すべきだと要求した。

欧州委員会は加盟進捗状況報告書の中で、キプロス問題のほかにも言論や報道の自由に依然制約があることを批判した。「深刻な懸念材料」はとりわけ、「トルコに対する侮辱」刑を定めた刑法301条であると指摘した。レーン拡大担当委員はエルドアン首相がこの条項の改正に前向きな姿勢を示したことを歓迎した。

欧州委員会の進展報告書は、トルコの司法の独立にも懸念を示し、クルド人や女性、宗教的マイノリティーの権利の強化を要求している。

原題:EU-Kommission droht der Tuerkei mit Konsequenzen in der Zypernfrage




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