2006年11月8日(水)15:29
トルコに関する欧州委員会の加盟進捗状況報告書の要点
ブリュッセル(AP)
欧州委員会は水曜日に発表したトルコに関する加盟進捗状況報告書で、キプロス政策やトルコ国内の市民権の制限などを厳しく批判した。以下に批判の要点をまとめる。
キプロス
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トルコはEUとの関税同盟を新規加盟国のキプロスにも拡大するとしたアンカラ議定書を「完全に履行していない」。2005年7月の議定書調印によって「加盟交渉の開始が可能になった」にもかかわらずである。もしトルコが譲歩しないならば、「加盟交渉の進展そのものに影響が及ぶ」ことになろう。
欧州委員会は「トルコが義務を履行しないならば、12月のEU首脳会議前に勧告を行う」と報告書の結論で述べている。
軍の影響
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「軍は依然大きな政治的影響力を行使している」。これはトルコ軍高官の内政外交問題に関する発言に現れている、と欧州委員会は指摘する。「軍の意見表明は軍事、防衛・安全の問題に限定され、政府の監督の下に行なわれるべきである」。トルコ議会は軍の予算に関して依然ほとんど決定権を持っていない、と欧州委員会は批判している。
司法
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欧州委員会はトルコの司法の独立に疑念を表明する。一例として、トルコ軍の司令官や総司令部の高級将校を告発した検察官が厳しい批判を浴び、最終的に解任された件を挙げている。この検察官はクルド地区の爆弾攻撃に関与したとして軍を非難していた。
人権
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欧州委員会は、テロの宣伝やテロリストの「称賛」に対する罰則を強化した最近のトルコの反テロ法改正を、犯罪行為の規定が明確でないとして批判している。
さらに報告書は、ストラスブールの欧州人権裁判所がトルコの人権憲章違反を告発した事例が今年8ヶ月に限っても196件に上ると指摘している。しかし大半は1990年代の事件である。
報告書によれば、トルコの刑務所の状態は改善されているという。しかし「刑務所の外では依然拷問や虐待が報告されている」。
言論の自由
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「非暴力の意見表明を新たな刑法の特定の規定に基づいて告発することは深刻な懸念材料である」。とりわけ「トルコに対する中傷」を刑罰の対象と定めた301条が問題であると指摘している。欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員は、トルコのレチェプ・タイップ・エルドアン首相がこの条項の改正に前向きな姿勢を表明したことを歓迎した。
クルド人
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報告書はトルコで2004年にクルド語の語学講座が禁止されたことを批判している。国立の学校の授業がもっぱらトルコ語で行なわれているため、「現在、クルド語を公立学校や私立学校で学ぶ機会はない」。HAKPAR党の代表はクルド語で演説を行なったとして裁判にかけられている。加えて、今春のクルド人の大規模デモでは3人の子供を含む10人のデモ参加者が殺害され、700人以上が逮捕された。「全体的にトルコ南東部の社会経済状況は厳しく、この問題の解決を図る包括的計画もない」。
女性の権利
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「法的枠組みは全体として満足できるものの、その実行が課題である」。したがって依然「名誉を口実とした犯罪や、家族の圧力を受けた女性の自殺がとりわけ東部と南東部に起きている」。刑法の罰則強化にもかかわらず、名誉殺人に対する判決が依然緩やかなものに留まるケースも見られる、と報告書は指摘している。
原題:Wichtigste Kritikpunkte im Tuerkei-Bericht der EU-Kommission
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