2011年11月23日(水)

ユーロ債をめぐりバローゾ委員長とメルケル首相が激しく論争

ブリュッセル(dapd)

欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は、自らのユーロ債の提案に対するドイツのアンゲラ・メルケル首相の批判に対して再反論した。一国の政府が議論を封殺しようとするのは「EU機構に対する相応の敬意」に欠ける行為である。とりわけ私は水曜日になって提案を発表したのだから、とバローゾ委員長は述べた。メルケル首相はすでに火曜日の時点で、危機の解決につながらないとしてユーロ圏共通債の議論を封じようとしていた。

バローゾ委員長はメルケル首相がずっと反対の姿勢に固執するとは考えていない。委員長は、この間欧州金融安定化基金の救済枠の強化と柔軟化に対し、ドイツ政府が反対を取り下げたことを指摘した。「時に現実は偉大な教師である」。加えて私はドイツ政府が原則拒否の姿勢を取っているとは思わない、と委員長は語った。メルケル首相は火曜日ベルリンで、通貨同盟の義務共同体に関する「協議は早くとも危機の終わり頃」になろうと発言している。バローゾ委員長は、つまりこの議論では時期設定だけが問題なのであるとの解釈を示し、この提案に対する支持が広がっていると述べた。

バローゾ委員長は、ブリュッセルで自ら「安定債」Stabilitats-Bondsと名付けた共通債の検討案を発表した。そこでは3つのモデルが分析されている。まずは共同責任なしに債務の調整を図る案である。次は加盟国の債務の一部に対してユーロ債を導入する案であり、最後は加盟国の債務を完全にユーロ債に置き換えるというプランである。バローゾ委員長はどのモデルに決めるかについて今の時点では明言しなかった。「私は自分なりの考えがある」が、具体的な提案の前にまずは議論を待たねばならない、と委員長は述べた。

自身がユーロ債を主張することをバローゾ委員長は隠さなかった。なぜなら「共通債で合意すれば、それ自体で、圧力のかかっている国々に対するリファイナンス費用を下げる可能性がある」と委員長の調査報告書は述べている。状況は水曜日になってさらに悪化した。イタリア、スペイン、フランスに続き、ベルギーにも強い圧力がかかり、国債の金利は5パーセントを超えた。

負債を分担することにより、アメリカの市場に匹敵する魅力的なユーロ債券市場が生まれる可能性がある、と欧州委員会は主張する。しかしユーロ債の導入は、「同時に予算規律の強化を行ってはじめて、望ましく、また実現可能な政策」となる、という。この言葉によりバローゾ委員長は財政規律の確保を行わねばユーロ債の議論はできないとするドイツ政府の異議に答えた形となる。委員長はこの問題に関しても具体的な提案を行った。

たとえばEUはすべての国に債務ブレーキSchuldenbremsenを導入する意向である。加えて今後、各国政府は毎年10月15日までに予算案を完全な形で欧州委員会に提出する。予算主権は引き続き加盟国の議会にあるが、EUの監督当局から出された異議を無視して議会が可決した場合は、欧州委員会が制裁を行うことができる。この手続きの導入にはドイツも規定の変更が必要となる。

ユーロ支援を受けている国はさらに厳しく継続的に監督され、融資額の75パーセント以上を返済しなければ、監督から逃れることはできない。この予算規律措置はEU条約の改正なしに可能であり、それゆれドイツにとっても受け入れられない案ではないという。ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相(キリスト教民主同盟CDU)は火曜日、12月9日のEU首脳会議では債務超過国の予算政策に対する介入権をEUに与えるべく、EU条約改正に向けて号砲を鳴らす必要があると要求した。

EU自身も、財政悪化が懸念される国々の予算主権に対する介入権を大幅に拡大することを計画している。政府の躊躇により危機が拡大する事態を避けるため、問題のある国々に対してはユーロ救済策を強制的に適用する権限の獲得を考えている。欧州委員会のオリ・レーン通貨担当委員は、欧州委員会は「加盟国に財政支援申請を提案する」権限を求めると述べた。勧告を行う判断基準は欧州中央銀行との共同分析になるという。

アイルランドおよびとりわけポルトガルの政府は、緊急支援を申請するか、長い間躊躇していた。なぜなら緊急融資は厳しい財政抑制策が条件となるからである。レーン委員は、だが様子を見ている間に状況は他の国々にとっても厳しくなったと述べた。加盟国政府に対し救済策の強制適用をはかるという警告は、とりわけイタリアとスペインに向けられている。

原題:Scharfer Streit ueber Euro-Bonds zwischen Barroso und Merkel




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