2011年11月29日(火)

EU条約改正へのいばらの道

ブリュッセル(dapd)

ドイツとフランスは12月9日のEU首脳会議までに条約改正の提案を発表する意向である。その目標は、通貨同盟を財政管理同盟に強化し、安定協定違反は欧州委員会が事前に阻止できるようにすることである。ドイツ政府は、各国の予算政策に対する欧州委員会の介入権および自動的な制裁メカニズムの導入を求めている。こうしなければ市場に債務危機克服を信じてもらえない、とドイツ政府は考えている。

しかし道のりは険しい。可能性は二つある。「正式な条約改正手続き」では加盟国政府のほかに欧州委員会と欧州議会の審議が必要になり、会議Konventで介入権を承認するがある。しかる後、各国の批准に回される。批准には国民投票が必要とされる可能性もある。しかしドイツのギード・ヴェスターヴェレ外相(自由民主党FDP)はこれまで会議の設置を主張している。

だがドイツ政府が目標とする来年末までの手続き完了には、会議を通した道はおそらく時間がかかりすぎるだろう。それゆえヴォルフガング・ショイブレ財務相(キリスト教民主同盟CDU)は、会議を通さない「限定的な」改正を進めるよう欧州議会を説得する意向である。すなわち「簡易手続き」である。しかしこれに対しては、すでに欧州議会社会民主党のマルティーン・シュルツ代表など、数多くの欧州議員が反対を表明している。

だが欧州議員だけでなく、ルクセンブルクなどのユーロ加盟国の中にもパンドラの箱を開けることに対して強硬な反対の声がある。ルクセンブルクのジャン・アッセルボルン外相はドイツのアンゲラ・メルケル首相宛てに激烈な書簡を送り、条約修正の要求は一層の不安を呼び、内政上の動機があるのではないかと勘繰られると警告した。イギリスなどの非ユーロ圏諸国は、通貨同盟の緊密化により排除されたと感じるだろうという。

加えて、フランスのニコラ・サルコジ大統領が先週木曜日ストラスブールで発表したドイツ、フランスの提案は、EUのヘルマン・ファンロンパイ常任議長と欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長に対する侮辱であった。ファンロンパイ議長自身は、10月の首脳会議で、条約改正の必要性を12月の首脳会議までに検討するよう委託を受けたばかりである。議長はブレーキをかける。まずはどこを改正する必要があるのかを明確にする必要がある。しかる後にはじめて私は改正の道を示すつもりだ、とファンロンパイ議長は先日EU議会で述べた。

それゆえEUの外交筋は、代償なしにドイツ政府が主張を通せる可能性は低いと見られている。たとえばサルコジ大統領だけでなくイタリアのマリオ・モンティ新首相もメルケル首相の望む規律規定を支持しているが、両者はこれを包括案の一部と捉えている。

モンティ首相は包括案にはユーロ債も含まれると考えている。すなわちすべてのユーロ加盟国の共同債である。フランスでは、最も信頼あるユーロ加盟6ヶ国が共同債を発行し、それを通して非常時には危うい国を支えるという考えが提案されている。加えてフランス政府は、欧州中央銀行(ECB)に危うい国の救済を行う権限を委託するよう、引き続き強く主張している。サルコジ大統領がストラスブールで、ECBの独立を尊重すると約束したにもかかわらずである。

今の段階ではユーロ債もECBの介入もドイツ政府にとってはタブーである。メルケル首相は「譲歩と引き換えに代償を求める取引」などではない、とストラスブールで述べた。条約改正が認められなかった場合、相場が維持できるかは遅くとも12月9日に判明する。

原題:Der steinige Weg zu EU-Vertragsaenderungen




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