2012年11月2日(金)18:51 スタンダード紙(オーストリア)
アレクサンドラ・フェーデル=シュミート
ドイツとフランスがこの40年間欧州統合プロジェクトを推進してきた一方、イギリスは大抵の場合局外にとどまるか、邪魔をするかのいずれかであった。忘れられないのはマーガレット・サッチャー首相が、「私のお金を返して」I want my money back と要求し、受益の少ない農業補助金への補償として1984年にいわゆる「ブリティッシュ・リベート」を獲得したことである。その額は最近の2011年では36億ユーロにのぼる。
イギリスはすべての権利を持っているが、すべての義務を負っているわけではない。イギリスが受けている適用除外には伝統がある。たとえばイギリスはEUによる週労働時間の規定の適用除外を認めさせた。またEU基本権憲章は適用されず、共通の社会政策も行われない。イギリスは共通外交安全保障政策の強化を阻止している。アメリカのジョージ W. ブッシュ大統領のイラク政策を無条件に支持し、戦争に至るまですべて行動をともにした。
イギリスはシェンゲン圏に加盟しておらず、依然国境検査を実施している。イギリス政府はつい最近、他のEU諸国との司法・警察分野の協力を解消する意向を表明して驚かせた。しかし法律の制定では共同決定権を握っている。
イギリスがEUにとどまる唯一の理由は域内市場である。この分野では統合の強化に賛成しており、経済的、人口的発展をにらんでトルコのEU加盟をも支持している。独自の経済的利害から、イギリス政府はできるだけ多額の救済策に肩入れし、貧しい国に対する豊かな国の連帯を求める。しかしその一方でイギリスの姿勢は「私たちは払わない!」である。通貨ポンドの国は昨年12月もEU財政協定への参加を拒んだ。
数年前からイギリス政府は金融取引税の考えを批判している。他のEU加盟国がイギリスの阻止の脅しに耳を貸さず、11の加盟国がこの税を導入する意向を示したのは正しい判断であった。
ヨーロッパ人の忍耐はすでに耐え難いところまで来ている。将来のEU予算に対するイギリスの抵抗と先日のイギリス議会での採決を踏まえ、欧州委員会のヤーヌシュ・レヴァンドフスキ予算委員は、イギリスは長期的にどこに向かうのかをそろそろ表明しなくてはならない、との正当な要求を行った。「長期にわたり欧州連合内に自国の未来を見据えているのか、それともそれ以外なのか?」
同時にこれはすべてのEU加盟国にとって、決断の勇気を持ってこの展開がどこに向かうのかを決める契機にならねばならない。ユーロ危機が示したのは、ナショナリズムへの回帰か財政移転同盟かの二者択一しかないという事実である。共同の出資による救済機構の創設と、欧州中央銀行に無制限の国債引き受けを可能にするという決定は、いずれにせよ共同責任の共同体に向けて一歩を踏み出したことになる。ユーロ共通債、EUの財務大臣、共通の預金保護がそれに続く措置として考えられる。これらすべては欧州統合の強化を意味するもので、ユーロ圏に限定されるものではない。このことは明確にしておかねばならない。
イギリスは決断すべきである。EUを脱退するのか、それともこの国家共同体に留まるのかを。覚悟を決めて決断すべきである。好きになるか、離脱するかを。
原題:Love it or leave it
Kommentar | Alexandra Foderl-Schmid
Die Briten sollten sich endlich entscheiden: Mehr Europa oder Austritt aus der EU
Der Standard, 2. November 2012, 18:51