2012年11月30日(金)
AFP
欧州委員会のヤーヌシュ・レヴァンドフスキ予算担当委員は、EUの中期予算をめぐる議論でEU加盟国を「精神分裂症」にかかっていると非難した。「多くの加盟国の立場は分裂症である。なぜなら自らがEUの成長と雇用拡大に必要と考える分野で予算削減を求めているからである。」一方で加盟国は輸送やエネルギー、コミュニケーションのネットワークに不備があると批判するが、真の欧州全体のネットワークを構築するなら、数億ユーロの投資が必要になるのだ、とレヴァンドフスキ委員はAFP通信社とのインタビューで語った。
一週間前、ブリュッセル臨時EU首脳会議は2014年から2020年の欧州連合の予算計画案を討議したものの、物別れに終わった。欧州委員会提案の予算案は1兆ユーロを超えるものであった。しかしドイツなどの実質負担国は規模が大きすぎるとしてこれを拒否した。ファンロンパイEU常任議長(大統領)による800億ユーロの削減提案も合意には至らなかった。これを受けて来年初めにあらためて妥協点の模索が行われることになる。
レヴァンドフスキ委員はさらなる削減を求める要求を厳しく批判した。「これは不可能である。私たちは可能性の限界に来ている。」ポーランド出身の同委員はファンロンパイ常任議長の仲介案をも拒否した。「これは前代未聞の実験を求めるのに等しい。少ない予算で一層の欧州統合を実現せよというのだから」。「このようなことはEUの歴史でいまだかつてなかったことである」とレヴァンドフスキ委員は批判した。
レヴァンドフスキ委員は、一方で予算削減を求め、一方で自国の利益を守ろうとするドイツなどの国をやり玉に挙げた。「フィンランドは予算削減を主張しながら、住民のまばらな自国の北部に対する補助金を求めている。ドイツは予算削減を主張しながら、東ドイツ諸州に対する補助金を求めている。そしてフランスは農業補助金の拡大を要求している」と委員は批判した。
新しい中期予算期間の始まりとともに、東ドイツ地域はEUの最優先支援地域から外れることになる。ドイツ政府は交渉の中で、移行措置を設けて補助金打ち切りを緩やかに行うよう主張している。ドイツはまた、自国の付加価値税からの拠出金に対する減額措置を2020年まで延長するよう求めている。
レヴァンドフスキ委員は、欧州議会との予算協議を来年末までに完了できるよう、遅くとも来年2月中にEU中期予算で合意するよう求めた。「EU各国首脳には、難題に立ち向かい、今後7年間EUに予算問題での平和をもたらすという勇気が必要だ」と述べ、今年度の欧州連合のノーベル賞受賞を踏まえて「これがノーベル平和賞を受賞する機関に相応しい振る舞いというものである」と付け加えた。
原題:Weiter Streit um EU-Haushalt
Haushaltskommissar wirft Staaten "Schizophrenie" vor