2014年11月3日(月)

EUは英国との争いで譲れない一線を示す

キャメロン首相はEU内の移民を制限する意向

AFP

拠出金問題では譲歩、EUの原則では妥協せず。EUとドイツ政府は英国との争いで妥協点と譲れない一線を明確に示した。新たに発足した欧州委員会が、英国の約20億ユーロのEU拠出金追加支払いの問題では全力で解決策を模索しているのに対し、ドイツ政府はEU加盟国からの移民流入に制限を求める英国の計画に関して、欧州連合内の移動の自由の重要性をあらためて強調した。

「新たな欧州委員会は解決策を見出すつもりだ」。金曜日のEU加盟国財務相会合を前に「まる一週間」解決策を模索している、とEU議長国イタリアの代表は21億ユーロにのぼる英国の追加拠出金支払いの問題について語った。追加拠出金支払いの要求は10月末のEU首脳会議でたいへんな騒動を巻き起こした。英国のデイヴィッド・キャメロン首相はEUの請求を「まったく受け入れ難い」と述べ、要求どおり期限の12月1日に支払うつもりはないと言明している。

「この問題で解決を模索することに関しては広範な合意がある」。しかし解決策は「法的にきちんとした」ものでなくてはならない。いずれにせよ11月1日に発足した新欧州委員会はきわめて積極的にこの問題に取り組んでおり、「専門家が作業を進めている」とEU議長国イタリアの代表は語った。

キャメロン首相率いる保守党は、来年春の議会選挙を控え、EU懐疑派勢力の大きな圧力を受けている。今年5月の欧州議会選挙ではEU反対派の英国独立党(Ukip)が第一党になった。一方キャメロン首相は、2017年に再選を果たした場合はEU残留を問う国民投票を実施すると国民に約束している。

英国議会選挙を控え、他のEU加盟国から英国に流入する移民も大きなテーマとなっている。そのためキャメロン首相は移民を制限する方策を検討している。ジョージ・オズボーン財務相はBBC放送で、英国政府はEUの移動の自由が「アンフェアに」利用されるのを防ぐべく必要な措置を講じると強調した。また財務相は、ここ数日ドイツの代表と「良い協議」を行い、ドイツ側も英国政府の立場に理解を示したと語った。

しかしドイツのシュピーゲル誌Der Spiegelは最新号で、EU加盟国から英国に来る移民に一定の割り当てを設けるというキャメロン首相の示唆はドイツ政府の懸念を呼んだと報じている。もしキャメロン首相がその案に固執するならば、メルケル首相は英国をEUに引き留める努力をやめる。「やむを得ないが」、と同誌はドイツ政府筋の発言を伝えている。

月曜日にドイツ政府はEUにとって移動の自由がいかに重要かを強調した。アンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)は先日のブリュッセルEU首脳会議の席で、「移動の自由という大きな財産を侵害することは許されない」と明確に述べている、とシュテフェン・ザイベルト政府広報官はベルリンで語った。移動の自由はドイツ政府にとって「重要なEUの成果」である。しかしその悪用による問題に対してドイツは他のEU加盟国とともに対処するつもりである、と続けた。

英国は今後EUでどのような役割を担うつもりなのか、自ら明確にする必要がある、とザイベルト広報官は述べ、ドイツ政府は「強い欧州連合の中で英国が活発に積極的に関与する」ことを望んでいる、と結んだ。

原題:Europa zeigt im Streit mit London Grenzen auf
Cameron will Zuwanderung in EU begrenzen




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