2002年10月9日(水)18:26

欧州委員会は10ヶ国の2004年加盟を勧告

ブリュッセル(ロイター)

欧州委員会はこれまでで最大規模の欧州連合(EU)拡大の基礎固めとして、10ヶ国を2004年までに加盟させるよう勧告を行った。

トルコについては欧州委員会は水曜日ブリュッセルで顕著な進歩があったことを認めたものの、アメリカ合衆国の圧力にもかかわらず、加盟交渉開始の時期についての勧告は行わなかった。あわせて欧州委員会は現EU加盟国に対して、拡大交渉が完了できるよう12月のEU首脳会議までに財政的前提を作り上げるよう求めた。「拡大は私たちの政治の傑作である」と欧州委員会のロマーノ・プローディ委員長は述べ、拡大を「欧州の再統一」と呼んだ。

ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロヴァキア、リトアニア、ラトヴィア、エストニア、スロヴェニア、マルタおよびキプロスは大きな進歩を遂げたので、2004年の欧州連合加盟が可能となった、と欧州委員会は説明した。ギュンター・フェアホイゲン拡大担当委員は「この10カ国はこれを自力で成し遂げたのだ」。ブルガリアとルーマニアについては両国が自ら目標としている2007年に加盟できるよう、欧州委員会はあらゆる手を尽くす、と欧州議会で述べた。

フェアホイゲン拡大委員はトルコの改革を賞賛

フェアホイゲン委員は、トルコはこの18ヶ月にその前の50年に果たした以上の進展を遂げた。たとえ欧州委員会が現時点で加盟交渉を提案せずとも、「トルコのための扉は開かれたままになっている」、と語った。欧州委員会はこれに加えて、トルコ国内の改革への一層の支援を提案した。最近トルコで行われた政治的改革には平和時の死刑の廃止やクルド少数民族の権利の強化などがある。トルコでは11月3日に議会選挙が控えている。

トルコのメスット・ユルマズ副首相はアンカラで、この拡大報告書は12月のコペンハーゲンEU首脳会議の決定を何ら妨げるものではないと述べた。フェアホイゲン委員は現EU加盟国に対し、新規加盟国に対する財政支援を明確化するよう勧告し、この支援策は10月24日と25の首脳会議で合意する必要があると述べた。プローディ委員長は「拡大が膨大な費用を要することは秘密でも何でもない。しかしコストは利益で埋め合わせられるのである」。欧州に世界最大の域内市場が誕生するにとどまらない。拡大は平和と安定、民主主義を欧州全体にもたらすのである、と語った。欧州委員会は2004年から2006年までの拡大のコストをおよそ400億ユーロと見積もっている。

ブリュッセルでの首脳会議の1週間前にアイルランドでは2000年12月のニース条約に関する2度目の国民投票が行われる。同条約は拡大に備えたEU改革を定めている。「ニース条約は必須の要素である」とプローディ委員長は述べた。フェアホイゲン委員もアイルランド国民に対し、同条約に賛成票を投じるよう呼びかけた。これより前、同委員はドイツラジオ放送Deutschlandfunkで、アイルランド国民のニース条約承認がなければ拡大のタイムスケジュールは危うくなると訴えている。

ポーランドは妥協を要求

加盟候補10ヶ国は欧州委員会の報告書を歓迎した。ポーランドのアレクサンデル・クファシニェフスキ大統領は、財政支援策に関する合意をはかるため、双方に妥協を勧告した。「いずれの側も完全な要求実現は難しい」と大統領は述べた。欧州委員会は候補国に対し、とりわけ税法におけるさらなる改革を求めている。プローディ委員長は、欧州委員会は進展を注意深く見守り、加盟の6ヶ月前に進展報告を行うつもりである、と述べた。

ドイツ政府は欧州委員会の拡大報告書を歓迎した。外務省の広報官は、ドイツ政府は予定加盟期日までに10ヶ国が「加盟資格」*)を満たすであろうと判断した欧州委員会の評価に賛同する。ドイツ政府は、残された諸問題が12月中旬のコペンハーゲンEU首脳会議までに解決されるよう尽力するつもりである、と伝えた。

*) 訳注:本文には"Beitrittsreise" とあるが"Beitrittsreife" の誤植と考えて訳出してある。

原題:EU-Kommission fuer Aufnahme von zehn Staaten 2004




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