2006年10月5日(木)16:28
AFP
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟)はキプロスをめぐるEUとトルコの争いに解決の兆しが見えてきたとの見解を示した。メルケル首相は、アンカラでトルコのレチェプ・タイップ・エルドアン首相との会談を終え、トルコはEU議長国フィンランドの妥協案を好意的に評価していると述べた。キプロスをめぐる問題でトルコとのEU加盟交渉は中断の危機に瀕している。会談の直前メルケル首相はトルコに対し、交渉に伴う約束を果たすよう求めていた。今回のトルコ訪問はメルケル首相の就任以来初となる。
「私は私たちがこの難しい問題を解決できると思う」とメルケル首相は述べた。しかし詳細については語らなかった。この問題については今後の訪問日程の中で詳細を討議するという。メルケル首相は、トルコはいわゆるアンカラ議定書に則って自らの義務を履行しなければならないと強調した。この議定書によれば、トルコは今年末までに自国の港湾をEU加盟国であるギリシャ系キプロス共和国の貨物に開放しなくてはならない。さもなければ加盟交渉が中断する恐れがある。
「EUとトルコの加盟交渉は公正に、結果を約束せずに行なわれる」。「私たちにとって重要なのは、その際にトルコが約束を守り、加盟基準を残らず完全に達成することだ」、とメルケル首相は『ビルト』紙Bildに語った。
一方エルドアン首相はアンカラで、EUこそがまず、トルコ系の北キプロスの経済的孤立に終止符を打つとした2004年の約束を果たすべきだというトルコ側の見解をあらためて主張した。EU筋の情報によれば、議長国フィンランドはトルコ系北キプロスの港の一つを国際貿易港として開放するという提案を行なっている。これによりトルコ政府には、ギリシャ系キプロスに対する港湾開放を内政的に処理する可能性が開ける。
メルケル首相とエルドアン首相は両国間の密接な友好関係と良好な経済関係に満足の意を表した。両首相は今晩中に飛行機でイスタンブールへ向かい、伝統的なラマダンの断食明けの食事イフタルに出席する予定である。金曜日にはイスタンブールで両首脳と経済界や様々な宗教の代表者との会合が組まれている。
原題:Merkel: Bewegung im Zypern-Streit zwischen EU und Tuerkei