2006年10月7日(土)15:47

トルコのEU加盟をめぐる論争が再燃

フランクフルト・アム・マイン(AP)

ドイツのアンゲラ・メルケル首相のトルコ訪問を終えて、トルコのEU加盟をめぐる論争が再燃した。欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン副委員長は土曜日、EU加盟国が否定的なシグナルばかりをトルコ政府に送っていると厳しく批判した。これによりトルコの改革勢力は弱体化し、トルコは西欧から切り離されていくと副委員長は述べた。これに対し、キリスト教民主同盟(CDU)のローナルト・ポファラ幹事長は加盟反対の党の意向をあらためて主張した。一方社会民主党(SPD)のクルト・ベック党首はトルコに「公正な機会」を与えるよう求めた。

フェアホイゲン副委員長は『ビルト日曜版』紙Bild am Sonntagで、加盟交渉はトルコの欧州連合加盟を目標として行われると、あらためて主張した。「私たちはトルコの欠点ばかりを問題視して、変革への勇気を鼓舞していない。そのためトルコでは、私たちの要求する改革の推進に対して、不満の声が高まっている」。これがまた、トルコは改革を実行できないというEU内の判断につながっている、とドイツ出身のフェアホイゲン副委員長は語った。「これは危険な悪循環であり、基本的秩序の崩壊という世界政治の問題を招く恐れがある。」

メルケル首相はトルコを訪問し、トルコのEU正式加盟に対する疑念をあらためて表明した。首相は金曜日イスタンブールで、加盟交渉を阻害する意志はないと強調する一方で、CDU党首として今後とも「特権的パートナーシップ」案を優先的に考えると述べた。これに対し、フェアホイゲン副委員長は『ビルト日曜版』のインタビューで、「交渉の目標はEU加盟交渉となっており、交渉の決裂を望むような発言には警告する」。EUは西側世界と堅く結びついたトルコに強い関心を持っている、と語った。

SPDのベック党首も『フランクフルター・アルゲマイネ日曜版』Frankfurter Allgemeine Sonntagszeitungで、EU加盟に向け努力しているトルコ政府を侮辱せぬよう警告した。「もし私たちがトルコの鼻先でEUへの扉を閉ざしてしまったら、取り返しのつかない誤りとなる」。CDUとCSU(キリスト教社会同盟)の目指す「特権的パートナーシップ」は、「どんなにトルコが努力しようとも一段低い席に」というものだ。これは誤りであり、ドイツ政府の政策でもない。SPDは引き続き、「トルコがEU加盟の公正な機会を与えられるよう」見守るつもりだ。「もちろんトルコは改革に向けて努力する必要がある」、とベック党首は強調した。

これに対し、CDUのポファラ幹事長はトルコEU加盟に対する同党の拒絶姿勢を明確にした。確かにトルコはこれまで進歩を遂げてきた。だが加盟が不可能であることを示す多くの具体例がある。「CDUとしては『われわれはEU加盟でなくトルコとの特権的パートナーシップを望む』という立場に変わりはない」と幹事長は『ライニッシェ・ポスト』紙Rheinische Postで主張した。

同様にオーストリアの右翼大衆迎合主義政党、オーストリア未来同盟(BDOe)のペーター・ヴェステンターラー党首もトルコのEU加盟に警鐘を鳴らした。あわせて同党首は土曜日ウィーンでフェアホイゲンEU副委員長を厳しく批判した。欧州委員会副委員長がトルコの正式加盟が目標と述べたことは、「お高くとまったブリュッセル(EU)の政治エリート階級の危険性を示す一例であり、EU市民の希望や考えからいかに乖離しているかを示すものだ」と述べた。

原題:Streit um tuerkischen EU-Beitritt neu entbrannt




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