2006年10月16日(月)18:48
ルクセンブルク(AP)
トルコとEUの加盟交渉は依然宙に浮いたままである。EUの定めた最終期限を2ヶ月半後に控え、月曜日の協議では依然トルコとキプロスの論争に解決の兆しは見えなかった。「牛は固まったまま動かない」とドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相はトルコのアブドラ・ギュル外相との会談を終えて語った。会談にはEU議長国フィンランドおよび欧州委員会の代表も参加した。
今後はフィンランドの妥協案に期待をかける。「さもなければ加盟プロセスに重大な障害が生じる恐れがある」、とシュタインマイヤー外相は述べた。フィンランドのエルキ・トゥオミオヤ外相は、「私たちは皆、もう数週間しか時間がないことを知っている」。トルコは我が政府の妥協案に建設的な意見を表明した、と語った。一方トルコのギュル外相は、「これはすべてこれから議論にのぼる事柄であり、まだ決まったものではない」と述べた。
EUは数ヶ月前からトルコに対して、昨年の6月に調印されたアンカラ議定書の履行を迫っている。この条約ではトルコはEUとの現行の関税協定をキプロスに拡大する義務を負う。しかしトルコ政府はギリシャ系キプロスの船舶や航空機のトルコ入港を拒否している。トルコがこの拒絶姿勢を今年末まで続けるならば、昨年のEUの決定に基づき、「加盟交渉プロセス全体に」影響が及ぶことになる。
トルコは依然議定書の完全履行には及び腰であるとシュタインマイヤー外相は述べた。外相によれば、トルコは「この問題をこれまで十分に扱われてこなかった北キプロスのトルコ系住民の問題と絡めている」という。北キプロスはトルコ以外の国からは独立国家として承認されていないため、トルコ系キプロス住民は貿易の制約など数多くの不利益を蒙っている。
欧州委員会のオリ・レーン拡大担当委員はフィンランドの妥協案を「危機を解決する、考えうる限り最善の文言」と評価した。トルコ系キプロス政府の情報によれば、この妥協案はトルコ系キプロスに対しEUへの輸出規制の緩和を認め、北キプロスの港ファーマグスタからEUに向け、EU加盟国と同様の条件、すなわち特別な関税なしに輸出ができるようにする内容であるという。これによりトルコは内政的に港のひとつをギリシャ系キプロスの船に開放する可能性が開ける。
しかしトルコ系キプロス政府によれば、貿易制限緩和の見返りとしてトルコ系キプロス政府は無人のヴァロシャVaroshaをギリシャ系の南キプロスまたは国連に委ねる義務を負う。だがトルコ系キプロスのメフメット・アリ・タラート大統領は、たとえそれを認める場合でもキプロス再統合を協議する新たな国連交渉の枠内に限られると先週AP通信に述べている。1974年以来分断が続くキプロスの再統合に向けた最初の国連の統合案は、2004年ギリシャ系キプロスの住民投票で否決された。そのためこの年5月のEU加盟は南のキプロス共和国に限られることになった。
また、オスマントルコ時代のアルメニア人虐殺の否定を処罰の対象とするというフランスの国民議会の決定が新たな問題を生む可能性もある。ギュル外相は月曜日、これがEUの求める、トルコに対する侮辱を刑事罰と定めたトルコ刑法の条項の削除に悪影響を及ぼすかという問いに直接は答えず、「私たちはどんな意見も表明できるような雰囲気の醸成に努める」と述べるに留まった。
原題:Beitrittsverhandlungen mit der Tuerkei weiter gefaehrdet