2006年10月26日(木)17:32
ベルリン(AP)
ドイツ連邦議会はブルガリアとルーマニアの2007年1月1日加盟を圧倒的多数で承認した。しかし同時に議会は両国の加盟国としての権利を一時的に制限するよう求めた。キリスト教民主同盟・社会同盟、社会民主党、自由民主党、および緑の党による動議は、もし両国が司法、農業、食品の安全における欠陥を年末までに解消しなければ、これらの分野で保護条項の発動を求めると要求している。しかし欧州委員会は両国に来年3月末まで猶予を与える意向である。
欧州委員会は9月末に発表した最後の加盟進展報告書の中で、司法、汚職撲滅、EU農業補助金の管理・分配体制、食品の安全、および航空安全の分野で両国の加盟準備の欠陥を指摘していた。ドイツ連邦議会の動議は国内の治安に関して、「もし特定の基準を満たさない場合は、司法判決の非承認やドイツ国民の身柄引き渡し拒否などの措置を講じる必要がある」と求めている。
もし加盟までに欠陥が解消されなければ、「加盟当初から」保護条項を発動する必要があると動議は要求している。連邦議会は農業に関して、公正な補助金使用が保証されない場合は支給の留保や削減を求めた。
ブルガリア、ルーマニアの加盟については551名の議員のうち529名が賛成、12名が反対、10名が棄権した。すべての会派の議員が両国の欧州連合加盟を歓迎した。
社会民主党のアクセル・シェーファー議員は加盟基準達成に向けた両国の改革努力を讃えた。またドイツが両国の加盟から受ける経済的恩恵にも触れた。連邦議会のスザンネ・カストナー副議長(社会民主党)は、必要とあらば保護条項を適用したりモニタリングを行なうことは正当であるが、1月1日に適用することは「大衆迎合的であり、誤っている」と述べた。
キリスト教民主同盟のミヒャエル・シュトゥープゲン議員は、内政と司法分野の欠陥をEU水準と較べながら、それゆえ保護条項を適用するのが正しいと主張した。EUはこれまでの拡大で労働者の移動の自由など移行規定をうまく運用してきたと同議員は述べた。
キリスト教民主同盟のグンター・クリヒバウムは、保護条項は制裁ではなく、ブルガリアとルーマニアを二級加盟国とするものでもない。しかしドイツには自国民を保護する義務があり、法制度がEU水準に達していない国に身柄を引き渡すわけにはいかないのだ、と強調した。キリスト教社会同盟のシュテファン・マイヤー議員も、自国民の被害を回避することはドイツの利益に叶っていると主張し、保護条項の適用は両国が欠陥を速やかに解消する励みにもなり、好機にもなると述べた。
原題:Bundestag ratifiziert EU-Beitritt Bulgariens und Rumaeniens