2010年10月12日(火)16:08

メルケル首相:「ルーマニアは改革を継続する必要あり」

ブカレスト(ドイツ通信社dpa)

メルケル首相のバルカン諸国歴訪:首相はブルガリアと同様にルーマニアに対しても投資企業に対する法的安定性を高めるよう求めた。国境なきシェンゲン圏加盟への希望に対しては色良い返事を与えなかった。首相はEU政治に対する貢献で7つめの名誉博士号を受けた。

メルケル首相は火曜日、ルーマニアのエミル・ボック首相とブカレストで会談を行った後、「透明で明確な法的状況に代わるまじめな選択肢は存在しない」と述べた。来年半ばにも国境検査のないシェンゲン圏に加盟したいというルーマニアの希望に対しては、メルケル首相は控えめな発言に終始した。

メルケル首相によれば、ボック首相はルーマニアがドイツの会社に対しておよそ1億4300万ユーロの未回収金を段階的に支払うことを約束したという。

ドイツはルーマニアのシェンゲン協定加盟に向けた進展を公正に判断し支援を行う。中心課題は安全なEUの外部国境である、とメルケル首相は語った。ボック首相は、加盟基準を守ることを約束した。

ルーマニアはブルガリア同様、2011年半ばのシェンゲン圏加盟を目指している。シェンゲン圏では通常、国境検査が廃止される。両国は2007年以来欧州連合加盟国である。

ルーマニアは国際的な経済金融危機から深刻な影響を受け、財政支援に大きく依存している。同国は2009年春に国家財政支援のため200億ユーロの緊急借款を受けている。これは国際通貨基金(IWF)とEU金融機構からの出資であり、ルーマニアの財政引き締め政策を定期的に検査しつつ、分割で支払われる。

ルーマニアは1989年まで共産党が政権を握っていた。党首を務めるニコラエ・チャウシェスク大統領は独裁的に全権を握っていた。同大統領の失脚および処刑の後、民主的な制度が発展して行った。しかし現在でも法的安定性、インフラ整備の遅れ、汚職などの問題が残っている。

メルケル首相は月曜日にブルガリアの首都ソフィアを訪問したが、ブルガリア政府に対してもシェンゲン圏への早期加盟の保証を与えず、決定は11月に下されると述べるにとどまった。

メルケル首相はルーマニアの危惧に答える形で、同国に住んでいる公式発表で54万人のロマの統合問題はシェンゲン圏加盟手続きには何ら影響を及ぼさないと保証した。重要なのはルーマニアによるEU外部国境での安全なビザ発給であると述べ、EUが犯罪や汚職に扉を開くような状況が生まれてはならないと釘を刺した。ルーマニアに暮らすロマは実際にはおよそ200万人と見られている。

メルケル首相はルーマニアのドイツ系少数民族への支援に謝意を表した。人口約2200万のルーマニアには、およそ6万人のドイツ系住民が住んでいる。ドイツ系少数民族の代表とも会談したメルケル首相は、ドイツ系住民は両国の重要な架け橋であると述べた。

メルケル首相はトランシルバニアのクラウゼンブルク(クルジュ・ナポカ)で、欧州統合ならびにグローバル化問題解決に向けた貢献に対して、バベス・ボルヤイ大学の名誉博士号を授与された。首相の名誉博士号は7つ目となる。同大学は多文化への取り組みを標榜しており、数多くの学部でルーマニア語とドイツ語の課程が提供されている。メルケル首相は、この大学はヨーロッパの目指す目標の優れた実例であると述べた。「さまざまな民族や文化や言語が出身や宗派を問わず共生している。」

原題:Merkel: Rumaenien muss Reformen fortsetzen




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