2012年10月4日(木)

EUはセルビア政府による同性愛パレード禁止を批判

セルビア内務相は安全上の懸念を禁止の理由に挙げる

AFP

セルビア政府による同性愛パレードの禁止は欧州連合から厳しい批判を受けた。決定はEUの基本的価値に反する、と欧州委員会のシュテファン・フューレ拡大担当委員の広報官はEU加盟候補国セルビアの政府に警告した。セルビア当局はパレードを二年連続で禁止しており、その理由として公式的には安全上の懸念を挙げている。

広報官によれば、フューレ拡大担当委員はセルビア政府の決定を「遺憾の念をもって」受けとめたという。同委員は集会の自由などの基本的権利を守り、性的指向などの理由による差別に反対する。加盟国には「この基本的価値は欧州統合プロジェクトを支える支柱のひとつであるがゆえ、これをすべて受け入れる」よう委員は要求すると、広報官は伝えた。

セルビアは3月1日のEU首脳会議で加盟候補国として承認され、加盟交渉の早期開始を待っている。しかし隣国コソボとの紛争が続いていることに加えて、法治国家に向けた進展がはかばかしくないことがEUの懸念材料となっている。

セルビアのイヴィツァ・ダチッチ首相兼内相は、今週土曜日にベオグラードで計画されたすべての集会を禁止しており、その中には同性愛者のパレードも含まれている。内務省は内相が情勢と安全性を判断してこの決定を下したと伝えた。これは、こうした催しを脅しによって阻止しようとする人々に対する「降伏などではない」。しかし「公的秩序の深刻な妨害」が懸念されるのである、と内務省は説明した。

すでに昨年、ベオグラードの「ゲイ・パレード」は中止となった。その理由は当局が同性愛パレードの参加者と、これに反対する極右のデモ隊の衝突を恐れたためである。2010年には10年ぶりのベオグラードの同性愛パレードで極右による騒乱が起き、フーリガンや極右民族主義者や警察官による市街戦で150人以上の負傷者が出た。

広報官によれば、フューレ委員は「パレード主催者に対するセルビア過激派グループの脅しや脅迫を厳しく」批判したという。このような脅しを真に受け、安全を理由に催しを禁止する口実に使うことは遺憾である。「委員はセルビア当局に対して、このような脅迫を調査し、関係者の責任を問うよう求める」。加えてセルビア政府は集会と言論の自由に対する権利を守らねばならない、とフューレ委員の広報官は述べた。

原題:EU kritisiert Verbot von Homosexuellen-Parade in Belgrad
Serbischer Innenminister meldet Sicherheitsbedenken an




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