2012年10月25日(木)13:33

ドイツはバルカン諸国に対するビザ免除の廃止を要求

ロマなどの難民申請増加に対抗

AFP

難民申請者数の増加を踏まえて、ドイツはEUに対し、数ヶ国のバルカン諸国に対するビザ免除の廃止を求めた。「現在セルビアからアフガニスタンの倍の難民申請者が出ている事態は到底受け容れがたい」とオーレ・シュレーダー内務次官(キリスト教民主同盟CDU)はルクセンブルクで語った。バルカン諸国に対し、EU加盟国はロマなどの少数民族の一層の保護を要求している。

セルビア、マケドニア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、アルバニアの西バルカン諸国からの難民申請者数は著しく増加している。「EU加盟国の中にはビザの悪用を懸念する声もある」と欧州委員会のセシリア・マルストレーム内務担当委員はEU内相会合の席で述べた。

ドイツではここ数ヶ月、とりわけセルビアとマケドニアからの難民申請が急増している。ドイツ内務省によれば、9月はセルビアから1395人の申請があり、8月の496人、7月の324人と比べて著しく増えている。マケドニアからの難民申請も同様で、7月の215人が8月には620人、9月には1040人と急増している。

9月に関してはバルカン諸国からの難民申請者数がシリア、アフガニスタン、イラクなどの紛争国を大きく上回る状況となった。「これは私たちが直面している状況がいかに不当なものかを示すものであり、セルビアがEU加盟候補国となったことが背景にある」とシュレーダー内務次官は指摘した。

セルビアとマケドニアは3年ほど前から観光ビザで90日間シェンゲン圏に入ることが認められている。EU外交筋によれば、最近はとりわけロマの人々が両国からEUに入り、難民申請を行うケースが増えているという。入国はしばしばブローカーが手引きし、入国報酬を手にしているという。セルビアとマケドニアの国民には事実上EU内で難民認定される可能性がないにも関わらずである。

そこでドイツ政府はセルビアとマケドニア両国に対するビザ義務の再導入を求めている。ハンス・ペーター・フリードリヒ内相(キリスト教社会同盟CSU)はドイツ第一放送ARDの番組「モルゲンマガツィーン」Morgenmagazinで、こうした措置はEU加盟を目指す両国に対して、難民申請を希望する自国の国民を手厚く保護するようにとの「明確なシグナル」であると述べた。スウェーデンのトビーアス・ビルストレーム内相もロマの待遇改善を勧告した。「問題となっているのは西バルカン諸国の少数民族とその境遇である。」

ドイツは、特定の民族集団に対する迫害などの理由なしに難民申請が急増した場合、非EU加盟国に対するビザ免除を停止できるとした、いわゆる保護条項の速やかな適用を求めている。すでにEU各国内相はこのような特別規定を決定しているが、手続き上の問題で意見の一致が得られず、EU議会が適用を阻止している。

そのためフリードリヒ内相はヴェルト紙Weltで、セルビアやマケドニアのような安全な国からの難民申請者に対しては難民認定の迅速化や一時支給金の減額措置を主張した。これに対し緑の党のフォルカー・ベックは、少数民族のロマに対する無神経な対応であり、「貧民中の最貧民に対する官僚的冷酷さ」であるとして内相を非難した。社会民主党(SPD)のリューディガー・ファイトは内相に対して、「自党のキリスト教的社会的価値観」を思い返すよう呼びかけた。

原題:Deutschland will Ende der Visafreiheit fuer Balkanlaender
Reaktion auf zunehmende Asylantraege besonders von Roma




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