2012年10月31日(水)
ベルリン(dapd)
数千人の抗議デモをよそにドイツとトルコは良好な関係を強調した。両国の関係はきわめて緊密である、とドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)は水曜日、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン首相をベルリンに迎えて語った。その際メルケル首相はドイツに住む300万人以上のトルコ系住民のことについても触れ、「両国の懸け橋となっている」と讃えた。同じ頃、首相官邸からほど遠くない場所でおよそ3,000人がエルドアン首相の政策に抗議するデモを行った。
会談の焦点はまたしてもトルコの目標であるEU加盟であった。エルドアン首相は自信に満ちた態度でトルコとのEU加盟交渉を促進するよう求めた。トルコはもう長いことブリュッセルのEU首脳会議に招かれなくなっている、とエルドアン首相は批判した。メルケル首相は、EUが公明正大に加盟交渉を進めていないとのエルドアン首相の批判を退けた。「EUは誠実な交渉相手である」とCDUの党首を務めるメルケル首相は反論した。
しかし全体としてみればエルドアン首相が大言壮語する理由はほとんどない。3週間前、トルコについて15回目の加盟進展報告書が発表されたが、その内容は惨憺たるものであった。言論や集会の自由の侵害は日常茶飯事で、数多くの作家やジャーナリストは投獄されており、政治的基準の達成に向けた実質的進展はない、と報告書は指摘した。
トルコは1999年から加盟候補国として承認され、加盟交渉は2005年から始まっている。しかしここ2年間、新たに交渉が開始された分野はひとつもない。さらにトルコと現EU議長国のキプロスとの関係が冷え切っていることも阻害要因となっている。
加盟進展状況報告書の厳しい評価により、トルコの加盟展望はさらに霞んだ。加盟反対を唱える人々は、EU加盟に向けた努力に対するトルコの不満の高まりを背景にしている。
ブランデンブルク門の前でトルコ政府に抗議の声を挙げた人々もほぼ同様の考えである。エルドアン首相の「反民主主義的政策」によって「ドイツの平行社会」が築かれている、とドイツ・アレヴィー派協会Alevitische Gemeinde Deutschlandのアリ・ドガン事務局長は批判した。緑の党と左派党の連邦議会議員もこの抗議行動を支援した。主催者発表によれば、正午までにおよそ3,000人が参加したという。警察によれば参加者は2,500人となっている。
メルケル首相はシリア紛争で隣国として直接被害を受けているトルコに対して支援を約束した。エルドアン首相によれば、トルコはすでに100,000人以上の難民を受け入れている。メルケル首相はトルコがNATOに加盟していることを挙げ、この点でドイツも「トルコの安全に責任がある」と感じている、と述べた。
さらにメルケル首相はエルドアン首相に対して、テロとの戦いにあらためて支援を約束した。とりわけトルコの地下組織クルディスタン労働者党(PKK)で、同党はドイツでも資金を調達している。PKKの策動を防ぐ協力を強化する必要がある、とメルケル首相は述べた。
エルドアン首相は月曜日からベルリンを訪問しており、火曜日にはベルリンの新しいトルコ大使館の落成式を執り行った。メルケル首相は来年2月にトルコを訪問する意向である、とエルドアン首相は伝えた。
原題:Deutschland und Tuerkei auf Kuschelkurs