2013年10月10日(木)

欧州議会は新たな境界監視システムEurosurを承認

関係当局の速やかな情報交換が目的

AFP

地中海のランペドゥーザ島沖での難民船の事故から1週間、欧州議会はEU外部境界の監視に向けた新たな通信システムに承認を与えた。ストラスブールの欧州議会はEurosur(European border surveillance system = 欧州境界監視システム)と呼ばれるシステムを賛成多数で承認した。これは不法移民の取り締まりを強化し、遭難した難民の救助を容易にするものである。欧州議会の承認により、Eurosurは予定どおり今年12月から始動するものとみられる。

欧州委員会のセシリア・マルムストレーム内務担当委員は欧州議会の表決を歓迎した。EurosurはEUの境界の安全を向上させ、欧州の海岸で命を危険にさらす難民の救助を強化するものである。その目標は、加盟国の国境警備機関と欧州対外国境管理協力機関Frontexの情報交換を改善することにある、とマルムストレーム委員は述べた。

この新たなシステムにより国境監視員は事件に関する情報をただちに通報することができ、「麻薬取引や人身売買などの国境を超える犯罪」の阻止が容易になる、とスウェーデン出身のマルムストレーム委員は強調した。一方で委員は、難民を追い返さないという原則は維持されると保証した。

Eurosurにより、陸と海のEU外部境界の監視に当たる当局、すなわち警察や沿岸警備隊、国境警備隊は、人工衛星による国境監視で得られた情報などをより迅速かつ容易に交換することが可能となり、難民船の動きに関する情報などが速やかにEU全体に伝えられる。

欧州議会の圧力を受け、Eurosurの情報は難民の救援にも用いられねばならないとの文言が条例に盛り込まれた。これはとりわけ海難事故の難民に該当する、とドイツ社会民主党(SPD)所属のビルギット・ジッペル議員は強調した。「安全と人道主義」が原則である。Eurosurは国境警備の改善を目的とするが、新たな難民の悲劇を防ぐ手段にならねばならない、とドイツキリスト教社会同盟(CSU)のマンフレート・ヴェーバー議員も語った。

新たなシステムに対して、欧州緑グループの議員からは批判の声が上がった。本来の目標は人命救助ではなく、不法移民を防ぐことにある、とドイツ出身のフランツィスカ・ケラー議員は主張した。「EUに必要なのは新たな難民排除システムではなく、難民救助システムなのだ。」もしEurosurが国境監視の改善だけに用いられるならば、また新たな難民の遭難事故が起きるだろう、とフランス出身のエレーヌ・フロートル議員も警告した。

イタリアのランペドゥーザ島沖では先週木曜日、数百名の乗ったアフリカの難民船が転覆した。これまでに救助隊は女性83名、子供9名を含む300人以上の遺体を収容している。行方不明者は数十名で、救助されたのは155名である。

原題:EU-Parlament stimmt neuem Grenzkontrollsystem Eurosur zu
Behoerden sollen schneller Informationen austauschen




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