2011年9月22日(木)

ルーマニアとブルガリアのシェンゲン圏加盟はストップ

EU加盟国はEUへのさらなる国境検査の権限移譲に反対

AFP

速やかなシェンゲン圏加盟というブルガリアとルーマニアの希望は断たれた。フィンランドとオランダは木曜日、ブリュッセルで開かれたEU内務相会議において今後のタイムスケジュールに関する決定を阻止した。シェンゲン圏内部の国境検査導入に対するEUの権限拡大という欧州委員会の計画には批判の声が上がった。

「私たちは後に後悔するような決定を今日下すことを避けたかったのだ」とオランダのヘルト・レールス移民担当相は自国の強硬な姿勢を説明した。フィンランドのパイヴィ・ラサネン内相は、「汚職などの問題もあり、両国が外部国境の安全を確保できる状況にあるとは必ずしも全面的に信頼できない」と語った。

ブルガリアとルーマニアは、加盟国間の国境のパスポート検査を廃止したシェンゲン圏への速やかな加盟を強く求めている。しかし欧州委員会はEU加盟国である両国に関する報告書の中で、たびたび司法制度と汚職撲滅の不備を指摘している。ブルガリアとルーマニアが加盟すればシェンゲン圏の外部国境に位置することになり、国境検査の責任を負うことになる。

さしあたり10月31日に空路と海路の国境をブルガリアとルーマニアに開放するというドイツの支持した妥協案も、オランダとフィンランドの反対で否決された。この妥協案では、欧州委員会の次の調査報告を受け、第二段階として2012年7月のシェンゲン圏完全加盟が盛り込まれていた。

ドイツ内務省のオーレ・シュレーダー政務次官(キリスト教民主同盟CDU)によれば、EU議長国ポーランドはこの問題を10月17日と18日のEU首脳会議において首脳レベルで協議したい意向であるという。シュレーダー政務次官はそれまでにフィンランドとオランダの再考を期待すると述べた。

ポーランドのイェジ・ミレル内相は、この阻止からはEU内の「相互不信という悲しい結論を導かざるを得ない」と批判した。ブルガリアとルーマニアに対しては2007年のEU加盟の際、シェンゲン圏加盟が約束されているのだ。「大きな前進」にもかかわらず、「今日この約束が破られたのだ」とミレル内相は述べた。

ブルガリアとルーマニアへのシェンゲン圏拡大をめぐる議論により、最近は感情論が高まっている。先週オランダが反対の姿勢を発表してから、ルーマニアの国境ではオランダの花卉を積んだトラックが止められた。ルーマニアの当局は書類の不備やバクテリア汚染の可能性があったためとしているが、ルーマニアのメディアは「花戦争」という報復ではないかと推測している。しかし木曜日には留め置かれた32台のトラックのうち25台が国境通過を認められた。

シェンゲン圏内の国境検査再導入に関する規則改正をはかろうとした欧州委員会の計画は大きな抵抗にあった。欧州委員会の提案は、シェンゲン圏加盟国が一時的な国境検査を行う場合はその理由を添えて欧州委員会に申請し、しかるのち欧州委員会の提議に基づき、シェンゲン圏加盟国が多数決で可否を決定するというものである。シュレーダー政務次官によれば、そうした権限を欧州委員会に委譲すべきではないという「きわめて一致した」意見が表明されたという。

原題:Schengen-Beitritt Rumaeniens und Bulgariens blockiert
EU-Laender gegen mehr Kompetenzen fuer Bruessel bei Grenzkontrollen




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