2001年4月30日(月)15:52

社会民主党はEU改革要求の詳細をあえて決定せず

ベルリン(ロイター)

社会民主党(SPD)は、ゲルハルト・シュレーダー首相(SPD)の作成したEU改革の要求に関し、他のEU加盟国の懐疑的な姿勢にも配慮してか、いまだ詳細を発表していない。社会民主党のフランツ・ミュンテフェリンク書記長は月曜日、党幹部会の会合を終えて、提案した第二院の票配分の問題などではまず議論を待ちたいと述べた。シュレーダーを長として作成された11月の党大会の基調提案は、欧州議会および欧州委員会の強化の要求に関し詳細を未決定のままにしている。EU改造の要求は他のEU諸国ではさしあたり慎重な反応にあった。

SPD幹部による基調提案草案は、これまでの欧州委員会を元にした欧州行政機関の創設を目指している。これまで権限の集中していたEU閣僚理事会は欧州議会の第二院に改編され、とりわけ、完全な予算権を付与されることにより強化されることになる。この改革要求案は一層の欧州統合を意味し、国家間協力という方向への発展から方向転換をはかることとなる。

ミュンテフェリンク書記長は、この提案は他のEU諸国の政府や政党と調整を行ったものではない。しかし中心的な重要テーマなので、このSPDの構想は来週初めの欧州社会民主党党大会において議論される可能性もある。「私たちはこれがどこでも賛同を得られるかどうか分からない」と述べた。

イギリスのトニー・ブレア首相はこの提案に対し慎重な反応を見せた。広報官は、ブレア首相はEUの将来をめぐる議論に対するドイツの貢献を歓迎すると述べる一方で、シュレーダー提案は草案に過ぎないと強調した。第二院に関して広報官は、ブレア首相は各国議会の議員で構成される議院を望んでいると述べた。イギリスの野党はシュレーダー首相の提案を、ヨーロッパ超国家を創設する試みとして拒否した。

オランダ外務省の広報官は、シュレーダー提案の詳細は知らないものの「良く準備され、良く考え抜かれた構想」のように思われると語った。スウェーデン政府はEU議長国としてこの提案に関して発言を控えている。

この基調提案は欧州委員会を「強い欧州行政機関」に拡充することを求めている。これまで提案権を持ち、加盟国政府の決定を執行してきた欧州委員会はこれにより強化されることになる。ミュンテフェリンクは「政府」という概念を意図的に避けたことを強調した。この言葉は単一の欧州国家を意味し、「私たちは国民国家が残ることを前提にしているからである」。これまで政治的権限の集中していた閣僚理事会は「欧州国家議院」europaeische Staatenkammer、すなわち欧州議会の第二院になる、と草案にはある。同議院におけるEU加盟国間の票の配分方法に関して、ミュンテフェリンクの言葉によれば、この提案は意図的に未定としているという。

欧州議会はさらに完全な予算権によって強化されることになる。これにより議会はEU予算の約46パーセントを占める農業予算も管轄することになる。この提案によれば、特定の権限がEUから再び国民国家のレベルに委譲される。これに関しミュンテフェリンクはキーワードの形で農業および構造政策を挙げた。しかしこれはEU分担金が引き下げられることを意味するものであってはならない、とミュンテフェリンクは述べた。

基調提案の諸要求はキリスト教民主同盟(CDU)およびキリスト教社会同盟(CSU)の間でもおおむね歓迎された。同様の構想はこれまでヨハネス・ラウ大統領とヨシュカ・フィッシャー外相(緑の党)が発表している。15ヶ国のEU首脳は2000年末のニース首脳会議で、EU諸機関の権限分割およびEUと国民国家間の権限確定の問題を2004年の改革会議で解決することを決めている。

原題:SPD laesst Details der EU-Reform-Forderungen offen