2003年4月9日(水)15:54
ストラスブール(ロイター)
欧州議会は来年に行われる史上最大の欧州連合(EU)拡大を承認した。「拡大の時機は来た」とパット・コックス欧州議会議長は水曜日ストラスブールで述べた。東欧諸国をはじめとする10ヶ国の新規加盟に対する欧州議会の承認は、来週のアテネの加盟条約調印式を控え、最後のハードルであった。
2004年5月1日にはポーランド、ハンガリー、チェコ、スロヴァキア、スロヴェニア、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、マルタ、およびキプロスがEU加盟を果たす。キプロスを除くすべての加盟候補国は自国のEU加盟を国民投票にかけている。すでにマルタとスロヴェニアでは国民投票が行われ、過半数の承認で加盟が決定している。
ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)は欧州議会の決定を歓迎する声明を発表した。トーマス・シュテーク広報官は、私はEU拡大がこの段階に至ったことをたいへん嬉しく思う。「今日は歴史的な日だ」との首相の発言を伝えた。
欧州議会での演説者の大半は、一世紀にわたる戦争の時代に終止符を打つ欧州の歴史的統一として新規加盟を称えたが、欧州連合が一致結束して国際的社会で発言・行動する必要性も勧告された。外交委員会のエルマー・ブローク委員長(キリスト教民主同盟)は、EU加盟国は連帯して事に当たる義務があることをあらためて訴えた。EUはイラク危機で深刻な分裂状態に陥った。数ヶ国の加盟候補国はイギリスやスペイン同様、アメリカ合衆国側に立つ一方、ドイツおよびフランスはEU内の戦争否定派の国々を率いた。
欧州議会のエンリケ・バロン社会党議員団長はアメリカの外交政策に懸念を表明した。「われわれは加盟条約の調印式の際に、イラク復興における国連の中心的役割を支持するというわれわれの共同の価値観を声明として発表すべきである」とスペイン出身のバロン団長は求めた。
来週水曜日のアテネでの加盟条約調印の直前に、加盟および加盟候補25ヶ国の首脳はEU将来像会議のヴァレリー・ジスカールデスタン議長を交えて同地で最初のEU憲法の策定作業について協議する予定である。105名の将来像会議のメンバーは夏に憲法草案を発表する意向である。この目的のため、EU議長国ギリシャの任期最終日となる6月30日に臨時首脳会議が予定されている。
EU憲法はこれまでの欧州連合および欧州共同体に関する条約に代わるもので、EUに一層民主的な新しい基盤を与え、拡大に向けてEU諸機構を整備するものである。
イラク危機でのEUの分裂は、外交政策でより緊密な協調を模索する将来像会議の協議にあらためて疑問を投げかける結果となった。ドイツとフランスはEU外務大臣の創設を提案しており、これは現在クリス・パッテンが務めている欧州委員会の外交担当委員とハヴィエル・ソラーナEU上級外交代表の職掌を統合しようというものである。
ドイツ、フランス、ベルギーはイラク危機でのEU分裂に鑑み、防衛政策においても一層緊密な協調を目指している。三ヶ国はこの件について4月末にブリュッセルで協議する意向であるが、他のEU加盟国も排除しないとしている。
原題:EU-Parlament stimmt Erweiterung zu