2001年12月12日(水) 15:44
ブリュッセル(ドイツ通信社)
ブリュッセルのラーケン宮でのEU首脳会議を二日後に控え、欧州委員会のロマーノ・プローディ委員長は欧州連合の機能麻痺がいよいよ進行していると警告した。閣僚理事会における不一致により、各国首相による欧州理事会で決定を行わねばならないケースが増えている。しかしこれは欧州理事会の任務ではない、とプローディ委員長はブリュッセルで発言した。
「私は閣僚理事会が任務を果たせない事態を憂慮している」とプローディ委員長は述べ、EU各国政府に対し、共同の通知を遵守するよう呼び掛けた。委員長はまた、欧州域内市場を真に実現させようとする意欲にもしばしば欠けるところがあると述べた。一例としてプローディ委員長は、EU特許の計画とナビゲーション衛星ガリレオをめぐって数年間論争が繰り広げられている事態を挙げた。
この衛星プロジェクトは欧州経済にとって特別の重要性を持つにも関わらず、どんな障害がこの計画に設けられているか、とうてい「信じられない」、とプローディ委員長は述べた。委員長は、主に航空および食糧の安全を監視する新たなEUの出先機間に関する決定も、ラーケン首脳会議で揉める問題になると考えている。
委員長は、総体的にEU諸機構の協力関係は良好であると述べながらも、「忍耐し切れなくなる時もある」と付け加えた。プローディは、将来の欧州委員会の役割に明快さを与えるべきであると表明した。ただ、明確にその将来の任務を述べることは控えた。
さらにプローディ委員長は、この首脳会議で「ラーケン宣言」の形で開始されることになっている欧州の将来像に関する議論を、計画中の改革会議において広く一般に公開しながら進めることに賛意を示した。必要不可欠のEU改革は「奥の間で」こっそり論議されてはならないと委員長は主張した。
「ラーケンでは改革会議の開始時期と任期に関する決定が下されるものと期待している」とプローディ委員長は述べた。改革会議の協議は引き続いて行われる政府協議の決定を準備するもので、この決定は間近に迫ったEU拡大の前に是非とも行う必要がある。「このプロセスを現在の任期中に完了させることが肝要なのである」、と委員長は語った。
欧州委員長は、9月11日のアメリカのテロ事件を受けて、域内安全の分野でEUが「速やかに断固たる」対応を示したことを称えた。プローディ委員長は、激しい抵抗の後、欧州共通逮捕状に同意するとしたイタリア政府の承諾を信頼していると述べた。しかしイタリア政府はまず国の法律を改正する意向であるが、これは一部遅延戦略と見られている。
原題:Vor Gipfeltreffen: Prodi warnt vor zunehmender Laehmung der EU