2002年12月5日(木)12:25
ポール・テイラー
ブリュッセル(ロイター)
欧州委員会のロマーノ・プローディ委員長は木曜日欧州議会で演説し、連邦制度的なEU憲法を提案した。あわせて委員長は新たに欧州委員会に広範な権限を与えるよう求め、EU大統領の考えを拒絶した。
憲法作成を委ねられたEU将来像会議に対する提案の中でプローディ委員長は、将来は欧州委員長を欧州議会が選出し、それによって委員長に民主的正統性を与えるよう主張した。さらに委員長は唯一のEU外務大臣を提案した。このEU外務大臣は欧州委員会に所属し、欧州委員長に対して責任を負うとともに、加盟国に対しても責任を負うものとしている。
「私たちは世界で初の真の超国家的な民主主義を創出する必要がある」とプローディ委員長は欧州議会で演説した。将来の外務大臣はアメリカの「国務長官」Secretary of Stateに倣い、「欧州連合長官」Secretary of the Union と称するという。現在は欧州委員会のクリス・パッテン外交委員とハヴィエル・ソラーナEU外交担当上級代表が外交政策を担当しているが、ソラーナ上級代表はEU加盟国に対して責任を負い、わずかな予算権限しか与えられていない。
プローディ委員長は欧州議会の立法権と予算権の拡大も提案した。また欧州委員会が防衛を除くほぼすべてのEUの政治分野に多数決決定を拡大するよう求めた。「欧州連合の近年の歴史における暗黒の瞬間は常にこの全会一致という規則と結びついていた」とプローディ委員長は主張し、多数決決定になれば税制などにおける国民国家の拒否権の可能性は失われると述べた。
プローディ委員長の提案はドイツや中小国の主張にかなり沿うものである。一方、フランス、イギリス、スペインはEUに対する国民国家の優先権を明確に定めたい意向である。したがって将来像会議のヴァレリー・ジスカールデスタン議長同様、EU大統領制を支持している。「しかし、EU大統領は欧州理事会(首脳会議)が開かれず、ブッシュ大統領に電話もかけなければ、一年360日ほかにいったい何をするというのだろうか」と委員長は皮肉的に問いかけた。
原題:Prodi schlaegt foederalistische Verfassung fuer EU vor
Von Paul Taylor