2005年12月5日(月)20:14
ロンドン/ブリュッセル(AP)
イギリスは2007年から2013年のEU中期予算をこれまでの案より大幅に削減し、新規加盟10ヶ国に対する補助金の削減も要求する意向である。これは現在EU議長を務めるイギリスのジャック・ストロー外相が月曜日の晩ロンドンで発表した予算案から明らかになった。予算の総額は8468億ユーロで、これは当初の見込みよりもおよそ250億ユーロ低い。
新規加盟10ヶ国は構造改革補助金の10パーセント減を覚悟しなくてはならない。一方イギリスは総額でEU拠出金を80億ユーロ多く支払う意向である。「イギリス政府はEU拡大のコストを公正に負担する責任を認識している」とストロー外相は語った。異論のあるイギリスの拠出金割引制度は原則として維持される。
8468億ユーロはEU加盟国の国民総所得比の1.03パーセントとなる。2008年か2009年には予算構造の再検討を行うとしている。ストロー外相は、イギリスの拠出金割引の廃止はEUが農業支出を大幅に削減した場合に限られる。この予算案ではイギリスの拠出金割引額は現在の55億ユーロから80億ユーロに上昇する、と語った。6月のEU議長国ルクセンブルクの予算案は、歳出総額を8710億ユーロ、加盟国の国民総所得比で1.056パーセントとしていた。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相はイギリスの予算提案を綿密に検討すると約束した。私は引き続き12月15日および16日のブリュッセル首脳会議での合意に向けて努力する、とメルケル首相は述べた。これに対し、欧州委員会のジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長はこの提案を受け容れられないと評した。「とても現実的とは言えない」。このような予算案が可決されれば、「ミニEU」ができるだけで、「私たちが必要とする強いEUにはならない」、とバローゾ委員長はブリュッセルで語り、とりわけ新規加盟国に対する構造政策補助金の削減を批判した。
一方ドイツ、スウェーデン、オランダの大きな実質負担国の負担は減り、EUに拠出する付加価値税の額は縮小される。スウェーデンとオランダについてはさらなる負担減が盛り込まれている。イギリスと同様、スウェーデンとオランダも6月の首脳会議では議長国ルクセンブルクの提案を拒否していた。
ポーランドのカジミエシュ・マルチンキエヴィッチュ首相はすでにこの日の午後の段階で、予算案が新規加盟10ヶ国への援助削減につながるならば拒否権を行使すると警告した。「私たちはこのような提案には同意しない」と首相はラジオのインタビューで語った。マルチンキエヴィッチュ首相は連帯を示すよう豊かな加盟国に呼びかけた。
ブレア首相はこれまで、イギリスの拠出金割引額の削減の条件としてEU予算の抜本的改革、ならびにこれによる潤沢な農業予算の削減を要求していた。この要求に対してはとりわけフランスが拒絶の姿勢を示していた。しかしこの間ブレア首相は自らの要求を取り下げた模様である。イギリスは、他の加盟国ほど農業補助金の恩恵を受けないという理由で1984年にEUから拠出金の割引を認められている。
EU各国外相は今週水曜日にブリュッセルで臨時会合を開き、新たな予算提案について初めて協議を行う。合意の取りまとめは12月15日と16日の首脳会議で予定されている。万が一合意が得られない場合は、2007年の様々なEU予算の支払いが滞る恐れがある。
原題:London mahnt Einsparungen in EU-Haushalt an