2005年12月12日(月)16:28

EU中期予算合意の見通しは不透明

ブリュッセル(AP)

EU首脳会議を数日後に控え、EU中期予算問題の歩み寄りの見通しは開けていない。EU議長を務めるイギリスのジャック・ストロー外相は月曜日ブリュッセルで「何が何でも」合意を図ることに反対の意向を表明した。ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相はEU外相会合であらためて、今週木曜日と金曜日に開かれる首脳会議での打開を強く訴えた。

「私たちの立場は変わらない。この12月のうちに合意しなくてはならない多くの正当な理由があるのだ」。「この外相会合の枠外で私が交わした会話からも、これが私たちだけの見解でないことが分かる」。議長国イギリスの現在の提案は「私たちが検討を進める上で叩き台となる」。ドイツ政府は水曜日にイギリス政府の新たな提案が発表されるのを待っている。私は先週寄せられた批判の声が「あらたな提案に反映される」ものと予測している、とシュタインマイヤー外相は語った。

ストロー外相は「難しい情勢であり、交渉の余地はきわめて限られている」。イギリス政府は妥結を望むが「どんな犠牲を払っても合意するというつもりはない」、と語った。月曜日の外相会合ではこの問題についての特筆すべき議論は行われなかった。ストロー外相は現在トニー・ブレア首相が加盟国の間で二国間協議を行い、合意の可能性を探っていることに触れ、今週半ばには修正案が発表できるだろうと述べた。

現在提案されている妥協案は、従来の予算案と比べてEU予算を大幅に削減している。この案では2007年から2013年の歳出総額をおよそ8470億ユーロとしており、ルクセンブルク案と比べて約240億ユーロの減となっている。異論のあるイギリスの拠出金割引制度は維持される。しかしイギリス政府は次期予算期間で総額80億ユーロの拠出金増額に応じる意向である。実質支出国の負担を減らすため、新規加盟10ヶ国はおよそ10パーセントの構造改革補助金の削減を受け入れねばならない。とりわけこの点について多くの批判が上がった。

フランスのフィリップ・ドストブラジ外相はさらなるイギリスの拠出金割引縮小を求めた。この割引制度はもはや正当化できない。なぜならこの間EUの予算構造は変わり、イギリスは昔よりも豊かになっているからだ、と外相は主張した。イギリスは1984年以来拠出金の割引を認められている。当時はイギリスがフランスなどの国ほど、潤沢なEU農業補助金の恩恵を受けないことが割引制度導入の理由とされた。

イギリスはEU予算が抜本的に改革され、農業支出が削減されない限り、財政システムの変更に応じないとしている。ドストブラジ外相は、フランス政府は次期予算期間中の予算構造の再検討を受け入れる。しかし変更は2013年の次期予算期間の満了後である、と述べた。

イギリスの拠出金割引額の削減は、欧州委員会のジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長も要求した。これはEU拡大のコストを負担するのに必要だと委員長はブリュッセルで述べた。「EUの拡大は永続的なので、予算や割引制度も一時的ではなく、永続的に調整が行われるべきである」。調整がなければ「私たちは合意を見出せない」。私はブレア首相に書簡を送り、「予算の合意は緊急で必要不可欠かつ実現可能である」との見解を明確に伝えた、と委員長は語った。

原題:Aussichten auf Einigung in EU-Finanzstreit ungewiss




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