2005年12月16日(金)20:29
ブリュッセル(AP)
2013年までの巨額の中期予算を巡る論争で、EU各国首脳は金曜日の晩、事態の打開に向けて前進した。フランスのジャック・シラク大統領はブリュッセルの首脳会議の席で、私は合意が得られるものと見ていると述べた。「大きな進展があった」と大統領は語った。外交筋によれば、イギリスのトニー・ブレア首相はこれまでにイギリスの拠出金割引を105億ユーロ削減する意向を示したという。
しかし新たな進展にもかかわらず、シラク大統領は首脳会議の行方を予測するのは時期尚早と述べた。合意の基盤となりうるのは独仏の提案であり、これは異論のあるイギリスの拠出金割引制度を2013年までに廃止するよう求めている、と大統領は語った。「これはイギリスの友人の問題であり、原則的、政治的、財政的問題である」。シラク大統領によればイタリア、スペイン、ポーランドも独仏の提案を支持しているという。
外交筋によれば、ブレア首相はイギリスの拠出金割引に関する新たな譲歩を妥協案に盛り込む意向であり、議長国イギリスはこの妥協案を今晩発表するという。当初ブレア首相は2007年から2013年までの次期予算期間で総額80億ユーロの拠出金割引削減しか予定していなかった。
新たなイギリスの提案の詳細は今のところ不明である。イギリスの拠出金割引額は次期EU中期予算計画の大きな争点であった。現在イギリスの拠出金割引額は56億ユーロにのぼっている。EU加盟国の圧倒的多数は、イギリスが拡大コストを相応に負担するよう、この拠出金割引額の削減を求めている。
ブレア首相はこれまで、引き換えに2013年以前に予算を抜本的に改革し、農業支出を削るという見通しを盛り込まない限り、さらなる譲歩には応じないとの姿勢を示していた。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相はこれより前、膠着した交渉を動かす提案を行った。ドイツ政府筋の情報では、ドイツは2007年から2013年の予算総額を132億ユーロ増額し、加盟国の国民総所得の1.045パーセントとする意向を示した。これは「譲り合いの呼びかけ」であると政府筋は伝えた。
議長国イギリスの最新の提案では総額を8490億ユーロ、国民総所得比で1.03パーセントとしていた。ドイツの政府筋は、昨夏のルクセンブルク議長の提案は8710億ユーロであり、メルケル首相の提案は依然これをはるかに下回ると強調した。
ポーランドのカジミエシュ・マルチンキエヴィッチュ首相はメルケル首相の提案を歓迎し、「これまでの提案より予算は増額され、バランスの取れたものになるようだ」と述べた。とりわけ新規加盟国が構造改革補助金の増額を繰り返し主張していた。ブレア首相の最新の提案では、ルクセンブルク案に比べて構造改革補助金をおよそ120億ユーロ削減し、1510億ユーロに抑えていた。
私は交渉ではドイツの利益を代表するとの決意を固めているとメルケル首相は述べた。ドイツは最大の実質負担国として「予算の節約も」図らねばならない。加えてドイツ政府には東ドイツへのEU補助金に関し特定の要求もある、と首相は語った。これまでの予算案では2007年から2013年まで東ドイツに130億ユーロの補助金支給が計画されている。
原題:Durchbruch bei EU-Gipfel in Sicht