2008年12月9日(火)15:07
ブリュッセル(AP)
欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は、来年6月の欧州議会選挙の前にリスボンEU改革条約が発効する可能性はもはやないと認めた。「選挙はニース条約に基づいて行われる」と委員長は火曜日、目前に控えたブリュッセルEU首脳会議の記者会見の席で答えた。ニース条約は現行のEU基本条約である。
しかし一方でバローゾ委員長は、リスボン条約のその後の発効について楽観的な見解を表明した。だがそのためには従来の欧州委員会の縮小計画は放棄せざるを得ない。なぜならアイルランドは将来も欧州委員会に自国から委員を送れなければ、条約を批准しないとしているからだ、とバローゾ委員長は述べた。「アイルランドにとってこれは根本的な問題なのだ。アイルランドから委員を1名選出すると書き加えない限り、条約の批准はない。」
それゆえ将来も27ヶ国すべての国から1名の委員が選出されることになる、とバローゾ委員長は述べた。「私たちは27名の欧州委員会が効率的であることをすでに証明している」と委員長は付け加えた。
リスボン条約では欧州委員会の縮小が定められている。2014年以降は加盟国の3分の2しか委員を送れない。すべての加盟国に均等の機会を保証するため、委員の選出は輪番制で行われる。欧州委員会の任期は5年のため、逆に言えばどの国も5年間は自国から委員を送れない時期があることを覚悟せねばならない。
これはとりわけ小国にとって厳しい、とバローゾ委員長は述べた。「自国から欧州委員を選任する可能性を失うことは、もはやEUの目標を自国のものと見なすことができなくなってしまうことを意味する。」
しかし現行のニース条約も欧州委員会の縮小を盛り込んでいる。しかも皮肉なことに2009年の秋からである。この問題を解決するために、バローゾ委員長は委員長および委員の任期を条約問題の解決まで延長することを提案した。「数週間あるいは1,2ヶ月、現委員会の任期の延長が必要と認められれば、これは可能である」と委員長は語った。
現バローゾ委員会の任期は通常ならば2009年10月31日で満了する。しかしバローゾ委員長は、2009年秋のアイルランドによるリスボン条約国民投票の再実施を想定している模様である。そこでリスボン条約が承認され、批准されれば、わずかな遅れで新たな欧州委員会の発足が可能になる。
原題:Barroso: EU-Reformvertrag kommt nicht mehr vor Europawahl