2000年12月6日(水)06:25
ベルリン(ロイター)
ニースにおける欧州連合(EU)改革首脳会議を目前に控え、EU諸国は重要な問題に関して依然合意が得られていない。中小国のポルトガルとギリシャは火曜日、あらためて欧州委員会の縮小に反対する姿勢を強調した。しかし数カ国の政府は、木曜日に開催される首脳会議の終わり頃には将来のEU機構の決定的な構造に関して合意が得られるものと楽観視している。会議開催前の張りつめた空気は「このような広範なテーマの決定を控えた当然の緊張感」のためであるとEU改革に関するドイツの交渉官であるギュンター・プロイグナー外務政務次官は水曜日の『新オスナブリュック新聞』に語った。
ギリシャのゲオルギウ・パパンドレウ外相はアテネでロイター通信社に対し、中小のEU加盟国は自国の利益を守ろうとすればそれぞれの国選出の欧州委員が頼りなのであると語った。ポルトガルのジャイメ・ガマ外相も欧州委員会の縮小に反対する姿勢を強調した。「委員枠を失うことをポルトガル国民に説明するのは困難である」と同外相は火曜日の晩遅くリスボンで述べた。
しかしすべての中小EU諸国が欧州委員会の縮小に対して強硬な姿勢を示しているわけではない。ベルギーのギー・フェルホフスタット首相は水曜日の『ファイナンシャル・タイムズ・ドイチュラント』紙で、直接選挙で選ばれる委員長を長とする「小さな欧州委員会」を求めた。
現在は各EU加盟国から最低1名の委員が選出されている。欧州委員会の縮小は、12ヶ国に及ぶEUの拡大計画に備えるためのものである。フランスや縮小案に同調する他の国々は、さもないと拡大後に委員会が肥大化して、効率的に機能することが難しくなるとしている。現在20名を数える欧州委員は、欧州条約の遵守を監視し、新たな提案を行う役割を負っている。
EU諸国は欧州委員会の規模の他に、最も重要な法律制定機関である閣僚理事会の将来の票配分についても論争している。ドイツは将来は人口規模に応じて票を配分するよう求めている。人口比に従えば、ドイツは他のどの国よりも多い票が割り当てられることになる。これは人口で2000万劣るフランスが拒絶している。二重多数決のシステムでEU諸国が合意することが期待されている。これは特定多数の獲得に、閣僚理事会の票の多数とEU人口の多数の両方を必要とするものである。
この他に議論が分かれているのは、どの分野に多数決決定を拡大するべきかという問題である。現在すべてのEU決定の85パーセントは特定多数決によって行うことが認められている。他の決定については一国の拒否権で阻止可能である。この改革も欧州連合に新たな加盟国を受け入れる準備を整えさせるものである。
プロイグナー外務政務次官は、いろいろ意見の相違はあっても「最後の晩にはモザイクの石が合わさり、解決に至るだろう」と語った。同次官はさらに、EUの税制および社会保障システムの調和の問題ではもちろんいくつかの国が「基本的な問題」を抱えている。欧州政治はこの点に配慮を払う必要がある、と続けた。
イタリアのジュリアーノ・アマート首相は慎重かつ楽観的な見解を示した。ニースの結論は困難である、しかし可能であると同首相は火曜日の晩フィレンツェで述べ、他のEU諸国に多数決決定拡大の問題で一層の歩み寄りを求めた。イタリア、ベルギーおよびフィンランドはこの点に関して良いお手本を示している。もしEU諸国が重要な案件で拒否権に固執すれば、欧州の著しい弱体化につながりかねない、と首相は語った。
イギリスの新聞報道によれば、ドイツとイタリアは他のEU諸国に対して早くも2004年のニース後の政府協議を提唱したという。そこではEUの将来の発展が討議されることになる、とロンドンの『タイムズ』水曜版は提案を引用している。ドイツ政府はすでに夏の時点で、EUと加盟国の権限を画定するさらなる政府協議の開催を求めていた。フェルホフスタット首相は、ベルギーはドイツの権限画定の要求を支持すると述べた。
原題:Uneinigkeit vor Beginn des EU-Reformgipfels in Nizza