2000年12月12日(火) 19:20

シラク大統領は批判に対してEU首脳会議を弁護

ストラスブール(ロイター)

フランスのジャック・シラク大統領は欧州議会の激しい批判に対してニースEU首脳会議の決定を弁護した。すべての大政党の代表は火曜日ストラスブールで、EU議長を務める同大統領との討論において、改革は不充分と批判した。いくつかの政党は否決の構えを見せている。シラク大統領はニース条約を「与えられた条件のもとでは最高の結果」と弁護し、「EUは加盟候補諸国に対する責務を果たしたことが示されたのだ」と述べた。大統領はニース条約が欧州議会のすべての望みをかなえるものでないことは認めた。フランスの新聞はシラク大統領をドイツに譲歩しすぎたと非難した。

EUの各国首脳は昨日、2003年以降の欧州連合拡大の前提条件を整える改革法案を可決した。「われわれは自らの目標を法案化したのだ」。とシラク大統領は述べた。大統領はさらに、従来より多くの決定が将来は各国の拒否権を排除した形で行われることになる。しかし税制と社会政策の一部で今後も多数決決定が不可能となったことは遺憾である。個々の国々は将来すみやかに欧州統合の道程を進むことが可能となった。閣僚理事会の票配分の決定は、小国も引き続きEUに対し重要な貢献を行えることを示すものだ。ブリュッセルの欧州委員会は今後とも強力な機関のままである。ニースにおける長く難しい交渉の後では勝者も敗者もいない、と語った。

一方、欧州国民党(EVP)の議員団長ハンスゲルト・ペッテリンク(キリスト教民主同盟(CDU))は、首脳会議の結果には光と影の部分があるが、影の方が勝っていると述べ、各国の拒否権の削除は決定的に重要な政治分野では実現せず、欧州議会は強化されなかった、と批判した。社会民主党の議員団長エンリケ・バロン・クレスポも、満足する理由はないと述べた。しかしニース首脳会議がともかくも結論を導き出したことは評価した。クレスポは、これによりEUの危機と拡大の阻止が回避された。しかし内容的には首脳会議の結果は喜びに水を注すものである。「各国の利害の政治的取引」の挙句、最後の瞬間に妥協が成立したが、それは文書の形ではいまだ提示されていないのである、と語った。

前欧州議会議長クラウス・ヘンシュ(社会民主党(SPD))は、ニース首脳会議は好機を逃し、27ヶ国に拡大した後の欧州のビジョンを何ら提起できなかった。むしろ各国首脳には欧州統合の前進を阻み、国家の利益を守ったと自国で称えられる方が重要だったのだ、と語った。キリスト教民主同盟(CDU)のエルマール・ブローク議員は、この条約には賛成票を投じないつもりだと述べた。リベラル政党や緑の党の代表もニース条約を不充分と批判した。新たなEU条約の欧州議会での否決は拘束力を持つものではないが、その後条約を批准せねばならない各国の議会に対するシグナルとなりうる。

欧州委員会のロマーノ・プローディ委員長もストラスブールで、重要な決定で今後も各国の拒否権が維持されたことを遺憾とした。私はこれについては「深く失望した」。全体としてニースでは「ほんの小さな前進」しか実現しなかった、と語った。いくつかの加盟国の間でも、前例のないマラソン協議の末可決されたこの改革案に対して批判の声が上がった。フィンランドのパーヴォ・リッポネン首相はすでにニースで、この条約は改定が必要だと述べている。

フランスの新聞は火曜日、ドイツにあまりに大きな権限を与え、フランスを孤立させたとしてシラク大統領を非難した。首脳会議はドイツ有利に進み、ドイツは欧州の真の柱を自負することになった、と経済紙『ラ・トリビューン』は報じた。

左翼系の評論家も保守系の評論家もニース協議におけるシラク大統領の戦術的失敗を非難した。とりわけ閣僚理事会の票配分の決定である。シラク大統領はEUで人口最大のドイツが閣僚理事会でフランス以上の票を獲得するのを阻んだものの、ドイツにフランス以上の比重を与える妥協案には承認せざるを得なかった。将来は閣僚理事会のいかなる多数決決定も同時にEU人口の62パーセントを代表するものでなくてはならないのである。ドイツはこれにより他の2つのEU大国と組むだけで決定を阻止することが可能となる。

この譲歩は、ドイツが今後欧州の支配的勢力となり、拡大によりこれまで以上にEUの地理的および政治的中心を占めることを意味する、と保守系の『ル・フィガロ』紙は報じた。

原題:Chirac verteidigt EU-Gipfel gegen Kritik