2004年2月19日(木)13:54

特務欧州委員の提案に疑念の声

ベルリン(AP)

欧州委員会内に経済担当の特務欧州委員職EU-Superkommisarを新設するという、フランス、ドイツ、イギリスの共同提案は、ドイツ国内外の政治家から疑念をもって受けとめられた。キリスト教民主同盟(CDU)のEU政治専門家マティーアス・ヴィスマンは木曜日、欧州委員会の組織改革が意味を持つのは、組織の縮小を伴う場合に限られると述べた。社会民主党のハンス・スヴォボダ欧州議員は、欧州委員会の編成は欧州委員長の任務であることを指摘した。

一方、欧州委員会のギュンター・フェアホイゲン拡大担当委員は、ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相、フランスのジャック・シラク大統領、イギリスのトニー・ブレア首相の三首脳会議に対するイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相の批判を退けた。欧州連合の主要な加盟国が意思疎通を図ることは、EU内に指導部や調整体制がないよりは良いと、フェアホイゲン委員はドイツラジオDeutschlandradioで述べた。ベルルスコーニ首相は、三ヶ国がEU指導部を作ろうとしていると批判している。

三ヶ国の首脳は水曜日ベルリンで会談し、EUの一層の経済成長に向けた提案を行い、経済問題を統括する特務欧州委員の新設を求めた。会談後三ヶ国の首脳は、外交およびEU政策の問題で今後も密接に意見調整を行っていく意向を強調した。三ヶ国首脳会議は「閣僚レベルでも首脳レベルでも継続される」ことになると、ドイツ政府筋は水曜日発表した。

キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)連邦議員団のヴォルフガング・ショイブレ外交問題担当は三ヶ国首脳会談を弁護した。中部ドイツラジオ Mitteldeutscher Rundfunkでショイブレ議員は、わずか一年前はイギリス政府とドイツ、フランス政府の間に激しい軋轢があったことを指摘した。「当時私たちは三ヶ国が声を揃えなかったことを批判したものだ」。そして今度は三ヶ国が共通の見解を見出そうと試みるのを批判するなどということは許されない、と議員は主張した。

オーストリアの議員でPSE議員団のスヴォボダ副団長もドイツラジオ放送 Deutschlandfunk で、イギリスをEU政治に引き入れたことはまずは評価できるが、欧州連合が小さなグループばかりに解体し、誰が誰と組んで最高の提案を行うかなどとグループ同士で競い合うようになれば、疑念を禁じえない。この三ヶ国が指導部として振舞うことを阻止するため、あらゆる策を講じる必要がある、と語った。

スヴォボダ議員は欧州委員長の権限に介入したことを非難した。「欧州委員長が任命されないうちに、いわばその政府をどう編成するべきかを委員長にあらかじめ指示するのは、好ましい姿とは言えない。」ヴィスマン議員は、強い権限を持つ副委員長という新たな任務を創設しても、それだけではEUの前進にはつながらない。憲法草案で示された欧州委員会の縮小をあらためて思い起こす必要がある、と語った。

自由民主党(FDP)議員団のザビーネ・ロイトホイサー・シュナレンベルガーEU政治担当は、「欧州委員会の副委員長職新設の駆け引きは権力政治そのものである」と述べた。同議員は、シュレーダー首相がヴォルフガング・クレメント経済相をこのEUの魅力的な新ポストに追いやりたいのではないかと推測している。また、FDP議員団のライナー・ブリューデルレ副団長は、統制的、介入的経済政策を推進しているとして、独仏英三大国を非難した。

原題:Vorschlag eines Superkommissars stoesst auf Skepsis




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