2009年2月19日(木)
AFP
チェコのヴァーツラフ・クラウス大統領は欧州議会で演説し、あらためてEU改革リスボン条約に対する批判を展開した。大統領はストラスブールの議会で欧州議員を前に、リスボン条約はさらに多くの決定権をブリュッセルに移し、市民をEUから一層遠ざけることになると述べた。この前日、チェコの下院は条約批准を承認し、最初のハードルを越えた。しかし批准のためには今後上院の承認と大統領の署名が必要になる。
クラウス大統領はまた、リスボン条約により欧州議会の共同決定権が強化されると批判した。これは現在EUが抱えている諸悪をさらに拡大することになる、と欧州統合反対論者として知られる大統領は述べた。大統領はそのような諸悪の例として、「民主主義の赤字」、不十分な決算報告義務、官僚主義を挙げた。
クラウス大統領は、欧州統合の進展が唯一のEUの道という姿勢にも批判を浴びせた。EUにはほかにも議論すべき「代案や可能性」がある、と大統領は主張した。チェコは今年1月から6ヶ月任期でEU議長国を務めている。しかしチェコではEU政策の権限は大統領ではなく政府にある。
欧州議会のハンスゲルト・ペッテリング議長(キリスト教民主同盟CDU)はリスボン条約に対する批判を退けた。現在欧州議会はEU立法の4分の3について共同決定権を持っているが、これは条約が発効すれば「ほぼすべての分野」に拡大する。まさにそうなるがゆえにEUでは官僚ではなく、選挙民から選ばれた議会が決定を行うことになるのだ、とペッテリング議長は反論した。
原題:Tschechiens Prasident bekraeftigt Kritik an EU-Reformvertrag