2001年1月24日(水) 14:25
ロンドン(ロイター)
ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は、イギリスがこれまで以上に欧州連合(EU)の拡大論議に積極的に加わるよう強く求めた。水曜日のフィッシャー外相のロンドン訪問を前に、ドイツのハンスフリートリヒ・フォン・プレッツ大使はイギリスのBBC放送に対して、フィッシャー外相は「独英フォーラム賞」受賞者としてドイツとイギリスの欧州政策上の共通点について語るであろう。ドイツはイギリスが東方拡大の論議に一層積極的に関わることに関心がある。なぜなら拡大した欧州連合はこれまでのような進み方はできないのであるから、と述べた。
たとえイギリスのユーロ導入についていまだ議論が分かれており、さまざまな懐疑論があるにせよ、イギリス政府が東方拡大の論議に全力を傾注するという希望は存在する、とプレッツ大使は述べた。イギリスのトニー・ブレア首相は、5月に前倒しで実施予定の議会選挙と多くのイギリス国民の欧州統合懐疑論者に配慮して、最近はこの問題についてほとんど触れていない。
「独英フォーラム」の広報官は、フィッシャー外相は1999年に彼の欧州政治のビジョンによって両国間の関係において「きわめて評価の分かれる貢献」を行ったゆえに受賞者として選ばれたと発表した。
フィッシャー外相は昨年、EUの先駆グループが統合を推進し、他の国々がそれに追随するという二つの速度のヨーロッパのビジョンを発表した。*) これに対しブレア首相は昨年10月初旬、ワルシャワにおける演説で、欧州超大勢力の構築を主張し、2004年までに東方拡大を完了するよう求めていた。同時にブレア首相は、欧州連合の諸機構の改革と、ブリュッセルの官僚支配を削り国民国家に一層の権限を与えるよう求めた。**)
フィッシャー外相はロビン・クック英外相との会談も予定されているロンドンで、グローバル化した世界においては国民国家共通の利益は国民国家が共同で代表するのが最適であることを説明するであろう、とプレッツ大使は述べた。「国民国家は今後ともきわめて重要で代替不可能な役割を担うことになろう」と大使は付け加えた。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は先週、ブリュッセルのEUの権限を縮小するという考えをきっぱりと拒絶し、同時にフランスに対して、ドイツとともに欧州統合の推進役となるよう求めている。
原題:Fischer dringt auf staerkeres britisches EU-Engagement
訳注:
*) フィッシャー演説については次を参照されたい(全訳):
http://ecowww.leh.kagoshima-u.ac.jp/staff/nakajima/r-mai/fischer.html
なお「フィッシャー外相は1999年に彼の欧州政治のビジョンによって…」とあるのは2000年の誤りと思われる。
**) ブレア首相のワルシャワにおける演説は次のニュースを参照:
http://ecowww.leh.kagoshima-u.ac.jp/staff/nakajima/r-oktober/06.10.html