2001年1月24日(水) 21:01

フィッシャー外相:「EUは超大国とはならず」

ロンドン(ロイター)

ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相(緑の党)は水曜日、欧州連合(EU)を超大国に強化する意図があるのではないかというイギリスの懸念を否定した。加盟国の国内機構を無効にしたり廃止しない場合に限って、欧州統合の完成が可能となるのである、とフィッシャー外相は、あらかじめ公表されたロンドンの「独英フォーラム賞」の受賞演説原稿の中で述べた。これより前、フィッシャー外相はイギリスのロビン・クック外相と会談を行った。会談後クック外相は、両者はEUの将来の権限分割に関して意見の一致を見たと発表した。両外相の考えでは、欧州連合の権限は国際的な問題に、加盟国の権限はそれぞれの国内問題に集中すべきであるという。

「イギリスの欧州統合懐疑論者が抱く恐怖のビジョン、すなわちいわゆる『超大国』が新たな主権者として旧来の国民国家とその民主主義に取って代わるというビジョンは・・・妄想の産物にすぎない」。国民国家は欧州レベルの決定に信頼性と民主性を保証するため、欧州連合においてつねに代替不可能な存在として存続する、とフィッシャーは演説原稿で述べている。フィッシャー外相は昨年、ベルリンのフンボルト大学における演説で、独自の政府と憲法および選挙によって選ばれる1名の大統領から構成されるヨーロッパのビジョンを発表した。

これに対し、イギリスのトニー・ブレア首相は、ブリュッセルのEU官僚支配を弱める一方で国民国家の政府にこれまで以上の権限を与えることを主張している。フィッシャー外相の演説はイギリスでは一部に激しい反発を引き起こしていた。世論調査によれば、イギリスでは有権者の70パーセント以上がユーロの導入に反対しており、多くの国民は基本的には欧州統合を拒否している。

フィッシャー外相は、彼の演説がイギリスで巻き起こしたセンセーショナルな反応ゆえに受賞は予期していなかったと述べた。「独英フォーラム」の広報官は、フィッシャー外相は彼の演説により両国の関係に対し「きわめて評価の分かれる貢献」を行ったがゆえに受賞者として選ばれたのである、と説明した。

演説原稿によれば、クック外相が言及したEU内の責任分担に関してフィッシャー外相は、この問題は解決されねばならず、必要な部分に関しては新たに規定し直すべきである。見直しは二つのレベルで行われねばならない。すなわちEUの諸機構間、および欧州連合と加盟国間である。「重要な出発点となるのは、何がEUの任務で何が加盟国の権限となるべきなのかという権限画定の問題である」。この件は2004年のEU首脳会議で解決される予定である、と語った。

ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は先週、ブリュッセルのEUの権限を縮小するという考えをきっぱりと拒絶し、同時にフランスに対して、ドイツとともに欧州統合の推進役となるよう求めた。

原題:Fischer : EU wird kein Supermacht