2001年1月30日(火) 16:54

フィッシャー外相は独仏の協力関係の意義を強調

フライブルク(ロイター)

ストラスブールにおける独仏首脳会談を翌日に控え、ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相(緑の党)はさらなる欧州統合に対するドイツとフランスの協力関係の重要性を強調した。ドイツとフランスの関係は代え難い重要性を持ち、それは将来も変わることはないであろう、とフィッシャー外相は火曜日、フライブルク大学における講演で語った。同時に外相は、フランス側の懸念に触れることなく、欧州統合の完成というドイツの目標を強調した。欧州統合は「フランスとドイツが協力して取り組む場合にのみ実現可能である」とフィッシャー外相は主張した。

水曜日、ストラスブール近郊アルザスのブレシェイムにおいて、ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)とフランスのジャック・シラク大統領は、欧州連合の将来の発展を協議するため会見する予定である。ドイツとフランスは欧州統合の推進役と目されている。しかしドイツの政権交代後、両国の関係は目に見えて悪化している。シュレーダー首相とシラク大統領はとりわけ将来の欧州統合に関して見解を異にする。シュレーダー首相が一層の欧州統合と欧州憲法の制定を支持する一方、シラク大統領は国民国家の意義を強調する立場である。

両国の争いは最近ではニースのEU首脳会議で持ち上がった。欧州の中核たる両国は、欧州委員会*)の票配分と他のEU改革の問題について意見が分かれたが、結局はフランスの議長のもとで合意に至った。首脳会議の参加者は、改革問題においてフランスがあまりに自国の利益、とりわけドイツに対抗する姿勢に固執していたと伝えている。首脳会議の妥協点は多方面から「期待外れ」、「不充分」との批判を受けた。

フィッシャー外相は、ニース首脳会議以降EU内の重心の移動だの勝者・敗者だのといろいろ報道されている。しかし私はこれは首脳会議の結果の誤った解釈であると考える。ニースは「大きな成功であり、それに対して我々は議長国フランスに感謝せねばならない」と述べた。

「欧州統合の完成」は「将来の大きな課題に対する回答」である。もしEU加盟国全体がさらなる統合をともにすることができない場合は、先駆グループの形成ということになるであろう。しかしこれは次善の解決策である。いずれにせよすべての加盟国の統合の方が望ましい。欧州連合と国民国家の関係は、今後数年間のうちに整理せねばならない重要な問題のひとつである。抽象的な欧州という国籍や国民国家の解体という事態には至らないであろう。なぜなら国民国家はEUを支える要素であり、今後ともそうあらねばならないからである、とフィッシャー外相は語った。

外相は演説の中で、フランスがその「戦略的展望」と「政治的勇気」により、これまで欧州統合において決定的役割を果たしてきたことを強調した。将来の拡大後の欧州もフランスによりその相貌を与えられることになろう。フランスがとりわけ敏感な文化的相違性も欧州にとって重要である、と述べた。

フィッシャー演説の始まる前、入場できなかった数百名の学生がシュプレヒコールをあげながら会場に強引に入ろうとして、騒動になった。「ヨシュカ、助けてくれ。我々が国民だ!」と学生は、1970年代に自らもデモにおいては当局の反対側に立った外相に向かって叫んだ。結局、警察は力ずくで会場を封鎖せねばならなかった。

原題:Fischer betont Bedeutung der deutsch-franzoesichen Partnerschaft

*)訳注:
原文には「欧州委員会」(Kommission) とあるが、閣僚理事会の票配分のことを指すと思われる。
なお、講演の全文(翻訳)は次のページに掲載している。
http://ecowww.leh.kagoshima-u.ac.jp/staff/nakajima/r-januar%2001/fischer.html