2006年1月18日(水)15:25

欧州の将来像に関する議論が加速

ストラスブール(AP)

欧州の将来およびこれに関わる凍結中のEU憲法の再生をめぐる議論がまた勢いを取り戻した。EU議長を務めるオーストリアのヴォルフガング・シュッセル首相は水曜日ストラスブールの欧州議会で、集中的な議論を行うよう勧告した。取り込まなくてはならないのは、EUの諸機構や加盟国の議会だけでなく欧州の一般大衆である、と首相は述べた。「これはエリートの議論になってはならない。」

オーストリアは1月1日に6ヶ月の任期でイギリスからEU議長職を引き継いだ。シュッセル首相は6月の首脳会議で憲法議論に関する包括的な報告書を発表する意向である。首相はEU憲法を踏まえ、「問われているのは憲法の条文ではなく、欧州のアイデンティティーである」。EUは欧州の生活モデルをさらに強く訴える必要がある。「平和、安全、民主主義、人権、連帯、生活水準。これは自明のことではなく、無料で得られるものではないのだ」と語った。

論議されねばならないのは、どのような権限をEUが持つべきかという問題であるとシュッセル首相は述べ、「公正な権限分割」を訴えた。「大きな問題を真剣に解決しようと望むなら、小さな課題を別の機関に委ねる用意がなくてはならない」。加えて欧州の境界についても議論が必要である。欧州連合の受け入れ能力に関する基準が必要なのだ。境界線を引くのは測地担当者や地理学者ではない。これは政治の問題である」とシュッセル首相は語った。

昨年春のフランスとオランダの国民投票でのEU憲法否決を受けて、EU各国首脳は熟考の期間を設けたが、これは今年の6月で終わる予定である。しかし今のところ、どのように憲法に新たな息吹を与えるかはまったく不明である。EU憲法の批准には加盟全25ヶ国の批准が必要となる。フランスとオランダの仕切り直しは、来年の両国の選挙以前には不可能と見られている。

欧州議会の欧州国民党(EVP)のハンスゲルト・ペッテリング党首は、EU憲法が「死文化した」と述べたオランダのベルナルト・ボト外相を批判した。ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)のエルマー・ブローク議員は、現在の憲法案を基本として合意を図るよう主張した。新たな条文を加えずにオランダやフランスなどの批判者に歩み寄る方策を考える必要がある。「これには欧州連合の地理的、政治的境界を有意義な形で定めることも含まれる」、と議員は語った。

原題:Debatte ueber Zukunft Europas gewinnt an Fahrt




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