2006年1月18日(水)14:11
ストラスブール(AP)
ストラスブールの欧州議会は、EU首脳会議による2007年から2013年のEU中期予算の決定を否決した。EU議会は水曜日党派を越えた決議を採択し、去る12月の首脳会議で決定された総額8624億ユーロのEU中期予算案を拒否した。その理由として、この財政計画では研究や教育、安全や外交政策などの将来の課題が疎かにされていることを挙げている。
首脳会議の決定は「将来の繁栄、競争能力、連帯、団結、安全を保証する予算になっていない」と決議は批判している。欧州議会のジョゼップ・ボレル議長は、首脳会議の決定は欧州議会の提案を幾重にも下回るものだと強調した。欧州議会の要求した予算案は総額で1,000億ユーロ多く、これは加盟国の国民総所得比で1.18パーセントとなる。EU首脳会議の決定した予算は1.045パーセントに留まった。
今後欧州議会は首脳会議と再交渉を行い、予算の修正をはかる意向である。今年からEUの議長国を務めているオーストリアのヴォルフガング・シュッセル首相は、「私たちは一層の柔軟性が必要なことは承知している。合意が得られるよう最善を尽くすつもりだ」と語った。欧州議会の社会民主党のマルティーン・シュルツ議員団長は、12月の予算決定に関わったとしてシュッセル首相を批判した。この予算計画では今シュッセル首相が議長任期中の優先課題と述べた将来への支出がすべて削減されている、とシュルツ団長は述べた。
キリスト教社会同盟(CSU)のマルクス・フェルバー議員は拡大EUを踏まえ、「加盟国が増え、課題も増える中、同じ予算規模では財政的に負担できないことは明白だ」と述べた。「しかしこれは逆の決定を行い、際限なき支出拡大を図るという意味ではない」と議員は厳しい財政状況を念頭に語った。
予算問題は3月までに合意を図る必要がある。加盟国が予算の増額を承認する見込みは薄いと思われる。しかし個々の予算部門の間で額の調整を行うことは考えられる。だがその場合でも可能性は限られている。というのは2002年の決定により、最大の支出部門であるEU農業補助金は2013年まで固定されているからだ。
予算構造の変更は早くとも2008年から2009年になる。12月の首脳会議では、欧州委員会が将来の課題に対応した予算修正を提案すると決定された。首脳会議と欧州議会の間で合意に至らなければ、2006年の予算に基づき1年毎に予算を決定することになる。しかしこその可能性は極めて低い。各国の財務大臣が年末にEUの支出に関する釈明を行うよう求めた欧州議会の要求を首脳会議が承認すれば、合意の可能性があるかもしれない。
原題:EU-Parlament lehnt Haushaltsplan 2007-2013 ab