2003年7月10日(木)16:13
ブリュッセル(AP)
時に激しい議論も戦わされた16ヶ月の協議を経て、EU将来像会議の欧州憲法草案はようやく日の目を見た。EU加盟国、各国議会、欧州議会、欧州委員会から選出された将来像会議の105名の代表は、木曜日ブリュッセルで数百頁に及ぶ全338条の憲法草案に署名した。
EU将来像会議のジスカールデスタン議長は、「ヨーロッパの市民はわれわれの憲法に賛成と言ったのだ。どうか反対しないでほしい」とEU各国首脳に呼びかけた。ドイツ政府を代表して会議に加わったヨシュカ・フィッシャー外相も、この草案が加盟国の政府間協議を無事切り抜けることを望むと述べた。フィッシャー外相は草案を「25ヶ国の欧州連合が行動能力を失わず、透明性を高められる、歴史的な妥協」と賞賛し、将来像会議は成功裡に終わったとの見解を示した。
ジスカールデスタン議長は7月18日ローマで、イタリアのカルロ・アゼッリョ・チャンピ大統領およびシルヴィオ・ベルルスコーニ首相に憲法草案を提出する予定である。イタリアは現在EU議長国を務めている。EU憲法を協議する政府間協議は10月に開かれる。ベルルスコーニ首相は、作業が年末までに完了し、憲法がローマ条約という形で任期中に調印されることを望んでいる。この憲法により2004年5月1日の新規10ヶ国の加盟後もEUの行動能力が維持される。発効は加盟全25ヶ国で批准した後、おそらくは2005年になるものと推測されている。
ドイツ政府の代表であるフィッシャー外相は「われわれはさらに多くのものを期待していた。しかしわれわれが起草する務めを負ったのは一国の憲法ではない。欧州の憲法なのだ」と語った。実際EU外交政策の決定は依然として全会一致とされた。フィッシャー外相は、EUがイラク危機の経験を踏まえさらに行動能力を高められるよう、多数決決定を主張していた。しかし外相は、EU外相職の創設や外交部門の一元化によって、共同の欧州外交政策に向けて大きな進展が得られたことを強調した。
税制問題でもEUは引き続き全会一致で決定を行うとされた。移民政策ではドイツ政府は、個々の国が引き続き第三国の労働者に対する労働市場開放の権限を保持するとの自らの主張を認めさせた。連邦参議院を代表して将来像会議に加わっていた、バーデンヴュルテンベルクのエルヴィーン・トイフェル州首相は、この問題は連邦州の中心的関心事であったと述べた。キリスト教民主同盟(CDU)所属の同州首相も全体として将来像会議を賞賛し、「この憲法草案は欧州を前進させる」と述べ、出発点の状況に較べれば「きわめて多くの成果が得られた」と評価した。
欧州連合のシンボルについても将来像会議は憲法草案で定めた。それによれば、今後5月9日は公式に欧州連合の祝日とされる。EUの旗は従来どおり青地に12の金の星をあしらった旗とされた。EUの歌はルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェンの第九交響曲の「歓喜の歌」と定められた。EUのモットーは「多様性を通した統一」Einig durch Vielfalt になる。
憲法草案の起草にあたってはEU首脳会議の決定により初めて会議が創設され、2002年2月末に作業が始まった。これはニース条約をめぐる首脳会議で生じたような揉め事を避ける目的があった。
原題:EU-Verfassung nimmt entscheidende Huerde